マンションポエムに心躍る人が犯す致命的ミス 不動産価値の9割は「立地」で決まる

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あと、私は「全体計画図」を割り合い重視する。敷地形状と建物や共用施設の配棟計画である。ここで、そのマンションの設計がどの程度丁寧になされているかをうかがい知ることができる。しかし、これはプロだからわかること。一般の方には少し難しいだろう。また、全体計画図を表示していない物件も多い。

共用施設についてはプールや温浴施設など、よほどのものでないかぎりはざっと見るだけ。また、「設備・仕様」というのは大手ならどこも似たり寄ったりなので、チェックさえしない。「ディスポーザーがついている」などということは枝葉末節。

オフィシャルサイトのトップページに大きく出ている「天地創造」とか「感度リョーコー」とかいったところは、そのマンションの真の価値を見極めるためには、何も関係がない。むしろ邪魔だ。

そこからわかるのはただ、売り主の販売担当者が自分たちの開発したマンションをどう考えているか、ということだ。例えば、「天地創造」であれば「俺たちはこんなに大きなスケールで街を作ったのだ」という、やや上ずった意気込みが表れている。「感度リョーコー」には、「このマンションは、なんの取りえもないから、涼子ちゃんのイメージでごまかしています」という本音が透けている。

本当に見るべきは「立地」

トップで「渋谷区松濤」とか「京都下鴨」など、地名を大々的にうたっていれば、「このマンションのいちばんのウリは立地です」と言っている。単純に、「駅徒歩3分」とか「1分」を大々的に打ち出しているトップページも多い。なんと言っても、「不動産は場所が9割」なのだから、そういう打ち出し方は、むしろ王道と言っていい。

なんの関係もないタレントやキャラクターが前面に出ていれば、要注意。何かをごまかさなければいけないマンションである場合が多い。そもそも、スペックの優れたマンションは広告に頼らずとも売れる。じつのところ、広告がほとんど出ないのに完売しているマンションもそれなりにある。

オフィシャルページを眺めていて、「なんだこれは」という印象を受けるマンションは、選択肢から外してもいい。「自分と合わない」と感じたなら、そのマンション自体と感性がずれていることが十分考えられるからだ。

自由主義経済の下では、モノの価格は需要と供給の関係で決まる。これは不動産といえども同じ。マンションの価格にしてもそうだ。新築マンションの場合は、まず売り主側が販売価格を設定する。その価格で売れればいいが、売れなければどうなるのか?

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