妖怪ウォッチが「かつてない難局」を迎えた理由 ガンダムも陥った「多様な世代」を狙う難しさ
そうした失敗を経験したせいか、現在のガンダムシリーズは「機動戦士ガンダム」をリアルタイムで楽しんだ40代以上も楽しめる重厚なシナリオを持つ作品として、小説家の福井晴敏氏が原作を手がける『ガンダムUC』『ガンダムNT(ナラティブ)』が公開された。
同時に子ども向けにはロボット(モビルスーツ)で遊ぶ楽しさを訴求する『ガンダムビルドファイターズ』、“ファーストガンダム生みの親”である富野由悠季氏の独特の世界観を表現した『閃光のハサウェイ』『Gのレコンギスタ』など、隙のない展開が進んでいる。
ターゲットユーザーごとにそれぞれ訴求ポイントを設定した作品を、異なるクリエーターによって企画・制作し、それぞれに応じた映像ウィンドウ(テレビ・劇場・インターネットなど)と、回収手段(映像・ゲーム・グッズなど)の最適解を追求していることがその展開からも見えてくる。
「原作者のこだわり」が足かせか
これに対して、妖怪ウォッチはその原作となるゲームから一貫して日野晃博氏が企画・制作に携わっている。筆者が日野氏に行ったインタビューでも、アニメ放送に際し、脚本はもちろん絵コンテまで氏がすべて目を通していると聞いて驚いたことがある。
「レイトン教授」「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」といった子ども向け大人気IP(知的財産)を次々と生み出したカリスマである氏ならではのこだわりとも言えるが、そのこだわりがキャラクターが創造主の手を離れて、さらに広い市場に広がる際の足かせとはなっていないだろうか。天才ゲームクリエーター田尻智氏が生みだした「ポケモン」も初期のアニメ化に際して、制作陣は脚本家の首藤剛志氏に「何でも書かせてみる」姿勢で臨んでいたという。
4月5日から始まったシリーズ第3作「妖怪ウォッチ!」は、改めて第1作の小学生の主人公ケータが活躍するギャグタッチのアニメとなる。上述のように、立ち上がりのグッズの供給不足やポケモンGOの大ヒットという「不運」はあったものの、コンテンツの魅力やビジネスのポテンシャルは非常に高いはず。原点回帰する新シリーズから妖怪ウォッチの復活なるか、注目したい。
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