ボルボ「XC40」発売1年でも絶好調が続くワケ 今年に入っても納車まで9カ月待ちの状態

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車種構成は、基本的に4つのグレードに分かれているが、実は最も廉価な標準仕様がかなりいい乗り味である。その内装は簡素でダッシュボードに黒の樹脂が使われているが、単なる樹脂ではなく、本社があるイエーテボリ市街地の地図を立体的に表現した造形をもたせ、安物に見せない配慮がなされている。ほかのグレードもそれぞれに持ち味があるが、基本がしっかり作り込まれていることを標準仕様で確認することができる。

XC40は、小型SUVであるがゆえに、より大柄なSUVなどに比べ車内の小物入れを充実させ、スマートフォンを置くだけで充電できる機能や、大型のペットボトルとノートPCを収納できるドアポケット、あるいはグローブボックスにバッグを掛けられるリトラクタブル式のフックが設けられるなど、それら使い勝手はまるで日本の軽自動車や小型車の室内を見るような配慮がなされている。

もちろん、安全装備には車種ごとの差がなく、16種類以上の先進安全・運転支援技術を全車に標準装備する。この3月には、一部仕様変更が実施され、後方の死角から接近してくるクルマを知らせる運転支援に、先に90シリーズや60シリーズで採用されたステアリング・アシスト機能が追加されている。

また駐車を支援するパーク・アシスト・パイロットには、駐車中にクルマの前後の予想進路内に他車や歩行者を、センサーが検知した際は、自動ブレーキを掛け、停止させる機能も加わった。

安全に対して、車格を問わず水準を高めていく姿勢が明確にされている。

顧客を他社へ逃さない独自の取り組み

しかしそれにしても、納車まで9カ月も待つことができるのだろうか。対応策として、ボルボ・カー・ジャパンは、ブリッジSMAVO(スマボ)と呼ぶ販売方法を顧客に提案している。

これは、XC40が納車されるまで、ほかのボルボの新車を毎月定額で乗ることができる仕組みだ。したがって、現在使用中のクルマの車検がきて手放したり、あるいは現在クルマを所持していなかったりする場合でも、契約したXC40が届くまでほかのボルボ車を使うことができるのである。

いよいよXC40が納車となったら、乗り換え清算金なしで、複雑な手続きがいらない。これは、いわゆる個人リース契約(SMAVO)の拡張サービスということができる。したがって、頭金なしで、3年間の税金や整備代など諸費用も組み込まれ、均等払いでXC40に乗れるのである。それを、納車までの空白期間にも適用し、例えばV40など在庫されているほかの車種に乗れるというわけだ。

このブリッジSMAVOは、思わぬ評判を得ている。自分のクルマとして購入する場合には選ばないであろう車体色、例えば真っ赤なボルボに乗ってみたいといったことも可能にする。それは、新しい体験になるだろう。

ブリッジSMAVOの取り組みは、長い期間納車を待たせることになる人気車種を希望する顧客を、他社へ逃さない販売上の利点があるのはもちろんだが、顧客にとっても、普段と違った体験を通じ、購入予定の車種以外のボルボの中に別の魅力を発見できるかもしれない。1つの契約で2度おいしいといえる仕組みでもある。

こうして、XC40は発売から1年を経てなお人気が衰える様子はなく、多くの消費者に期待を抱かせているのである。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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