ボルボ「XC40」発売1年でも絶好調が続くワケ

今年に入っても納車まで9カ月待ちの状態

ボルボは、1927年の創業以来、世界で最も安全なクルマの1台としての価値を提供し続けてきた歴史がある。それというのも、ボルボが初めて自動車を開発している最中に事故を起こし、なによりまず安全が重要であるとの方針を定めたからだ。

日本市場においても、ボルボを愛好する人たちが何より求めたのは安全性であり、なかには「ボルボに乗っていれば死なない」といった誤解をした人もあると耳にしたことがある。いずれにしても、安全の追求でボルボがつねに最先端であることは間違いない。

例えば、今日すべてのクルマに装備されている安全の基本となる3点式シートベルトは、ボルボが開発し、その特許を公開することで、自社製品のみならず世界のクルマが安全になることをボルボは優先した。

一方で、かつてのボルボは、たとえ安全であっても、必ずしも走行性能は高くなく、また外観は四角い箱のような姿で簡素だった。しかしその簡素な姿こそがボルボを象徴していると、今日なお懐かしむ人がいるのも事実である。

そうしたボルボが、大きく躍進したのは近年のことだ。アメリカ・フォードクループを離れ、2010年に中国資本を母体としながら、スウェーデンや北欧的な感性で商品戦略を整え、造形の独自性のみならず、車両の構成を簡素化し、環境へも積極対応する姿勢を示し、商品性は大きく前進した。

ボルボ・カー・ジャパンの木村隆之社長はそれを「新生ボルボ」と呼び、その第1弾が2016年に日本に導入されたXC90である。価格は700万円台後半から1000万円を超える車種となり、従来のボルボの顧客層より上の富裕層への提案でもあった。まさにそれは、ボルボを安全なクルマからプレミアムなブランドへ成長させる挑戦であった。もちろん、基軸となるのは世界有数の安全性である。

ボルボにおける商品価値とは

ボルボで最も小型のSUVとはいえ、XC40もプレミアムなコンパクトSUVとの価値が与えられている。

商品価値について、ボルボは、XC90、XC60、XC40の順に大きさで格付けされるものではなく、例えば、フォーマル、ビジネス、カジュアルというように、同じブランド、同じ顧客であっても、使う場面で用途が異なったり、あるいは人生観で嗜好が分かれたりする価値の考え方であり、上下関係ではないとする。

外観の造形についても、どこのメーカーであるかを明らかにする統一感を持たせる傾向が世界的にあるが、ボルボもその流れにはあるものの、90シリーズ、60シリーズ、40シリーズで明確な性格分けがなされている。

ことに、XC90とXC60に比べ、XC40は明らかに違った外観を持つが、同時に新生ボルボらしく、かつ存在感も備わっている。小型SUVであるため、カジュアルでより親しみやすくとの配慮はあるものの、単に可愛らしい造形にするのではなく、イングリッシュブルドッグを主題に愛嬌のある身近さを表現している。そこが、可愛らしさやスポーティーさとは違った、世界的な共感を呼んでいるともいえるだろう。

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