働くことだけではなく、恋愛も精神状態が不安定になるから禁止と言われた。親も兄も疎遠となって、どこにも友達もいない。孤独でおかしくなりそうになった。孤独から逃れる手段は出会い系サイトしかなく、再びひたすら見知らぬ男と会うようになった。
「もう、数えきれないほどの男性に会いました。本当に数えきれない。自分でもわけがわからない感じで、男の人に優しくされたくて、優しい言葉をかけてもらいたくて、ひたすらメッセージのやり取りをした」
現在暮らす団地に引っ越して、つねに5、6人と恋愛を同時進行した。家で寝ているか、見知らぬ男性と会っているかだけの生活だった。そして6年前、振り込め詐欺メール送信業者の男性と知り合った。大勢の中の1人だったが、彼との子どもを妊娠してしまった。
認知だけして、見舞いにもこなかった
「相手は収入が低かったので、妊娠はショックだったみたい。結婚も乗り気じゃなかった。結局、認知だけしてもらって産むことにしました。無職で収入もないのに大変ってわかっているけど、子どもだけは私の近くにいる。だから欲しいなって思った。6年前、長女が生まれました」
男は認知だけして、見舞いにもこなかった。両親に出産予定日を連絡しても、興味なさそうに切られるだけ。孤独の中での出産となった。難産で帝王切開となって、長女はやっと生まれた。本当に苦しい出産だったが、労ってくれる人は誰もいなかった。
「4年前、長男を養護施設から戻して、一緒に住むようになった。長女のことは3歳くらいまではちゃんと面倒みていました。でも、だんだんと育児が嫌になった。それで、今みたいに育児を長男に押しつけて、それで私はまた出会い系サイトに依存です。この3年間はネグレクトして、毎日のように男に会っています。同じことの繰り返しです」
子どもの頃の愛情不足は、母親になって新しい家族ができても、40歳を超えても癒やされないようだ。現在、40代未婚と50代既婚の恋人がいる。未婚男性は「本当にいい人」らしく、近々に再婚する予定だ。しかし、50代の既婚男性との恋愛もやめることはできず、出会い系サイトのアクセスも続けている。新しい男と会うこともやめられない。
彼女は2時間くらい、ひたすらしゃべっただろうか。それでも話は止まらなかった。隣席は2組が入れ替わっている。私が長女のことを質問しても、すぐに現在の男の話に戻ってしまう。長女が追い詰められている今この瞬間も、現実逃避から逃れられないようだった。
【2019年4月5日12時00分追記】初出時、不適切な表現があったため、記事の一部を修正しました。
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