幼児を放置して「彼氏」に会う42歳女性の悲哀 北関東出身で、親の愛を知らずに育った

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働くことだけではなく、恋愛も精神状態が不安定になるから禁止と言われた。親も兄も疎遠となって、どこにも友達もいない。孤独でおかしくなりそうになった。孤独から逃れる手段は出会い系サイトしかなく、再びひたすら見知らぬ男と会うようになった。

「もう、数えきれないほどの男性に会いました。本当に数えきれない。自分でもわけがわからない感じで、男の人に優しくされたくて、優しい言葉をかけてもらいたくて、ひたすらメッセージのやり取りをした」

現在暮らす団地に引っ越して、つねに5、6人と恋愛を同時進行した。家で寝ているか、見知らぬ男性と会っているかだけの生活だった。そして6年前、振り込め詐欺メール送信業者の男性と知り合った。大勢の中の1人だったが、彼との子どもを妊娠してしまった。

認知だけして、見舞いにもこなかった

「相手は収入が低かったので、妊娠はショックだったみたい。結婚も乗り気じゃなかった。結局、認知だけしてもらって産むことにしました。無職で収入もないのに大変ってわかっているけど、子どもだけは私の近くにいる。だから欲しいなって思った。6年前、長女が生まれました」

男は認知だけして、見舞いにもこなかった。両親に出産予定日を連絡しても、興味なさそうに切られるだけ。孤独の中での出産となった。難産で帝王切開となって、長女はやっと生まれた。本当に苦しい出産だったが、労ってくれる人は誰もいなかった。

「4年前、長男を養護施設から戻して、一緒に住むようになった。長女のことは3歳くらいまではちゃんと面倒みていました。でも、だんだんと育児が嫌になった。それで、今みたいに育児を長男に押しつけて、それで私はまた出会い系サイトに依存です。この3年間はネグレクトして、毎日のように男に会っています。同じことの繰り返しです」

4月5日発売の書籍『東京貧困女子。』がどのような内容なのか、ぜひ特設サイトをご覧ください(画像をクリックすると特設サイトにジャンプします)

子どもの頃の愛情不足は、母親になって新しい家族ができても、40歳を超えても癒やされないようだ。現在、40代未婚と50代既婚の恋人がいる。未婚男性は「本当にいい人」らしく、近々に再婚する予定だ。しかし、50代の既婚男性との恋愛もやめることはできず、出会い系サイトのアクセスも続けている。新しい男と会うこともやめられない。

彼女は2時間くらい、ひたすらしゃべっただろうか。それでも話は止まらなかった。隣席は2組が入れ替わっている。私が長女のことを質問しても、すぐに現在の男の話に戻ってしまう。長女が追い詰められている今この瞬間も、現実逃避から逃れられないようだった。

【2019年4月5日12時00分追記】初出時、不適切な表現があったため、記事の一部を修正しました。

本連載では貧困や生活苦でお悩みの方からの情報をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
中村 淳彦 ノンフィクションライター

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なかむら あつひこ / Atsuhiko Nakamura

貧困や介護、AV女優や風俗など、社会問題をフィールドワークに取材・執筆を続けるノンフィクションライター。現実を可視化するために、貧困、虐待、精神疾患、借金、自傷、人身売買など、さまざまな過酷な話に、ひたすら耳を傾け続けている。著書に『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)、『私、毒親に育てられました』(宝島社)、『同人AV女優』(祥伝社)、『パパ活女子』(幻冬舎)など多数。Xアカウント「@atu_nakamura」

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