カラダを動かすのは彼氏に会いに行くときだけ
「私、子どもを虐待しているかもしれません」
沢田綾子さん(仮名、42歳)はファミレスに入るなり、そう語りだした。表情は真顔だった。店内は昼時で混みあっていたが、声は若干大きく、誰に聞かれてもかまわないといった様子だ。彼女が虐待しているかもしれない子どもは、6歳の保育園に通う長女という。
「もう、毎日、毎日、ずっとイライラしています。最近、子どもに暴言を叫んでいることに気づきました。朝や夜、必ず子どもに怒っているんです。うるせーんだよ! 静かにしろよ! 早くしろよ!って」
埼玉県北部のある駅前、低価格で有名なファミレスで待ち合わせた。東京から2時間ほど、JRの車窓からはずっとなにもない田園風景が続いたが、その駅の周辺だけわずかに商業施設が建ち、数は少ないが通行人がいた。
バツ1のシングルマザーで、近くの県営団地に住んでいる。家賃は月7700円、低所得なので減免を受けていて安い。家族関係は複雑で現在中学生の長男は元夫との子で、6歳の長女は未婚の元恋人との子どもである。
「明らかにネグレクトです。上の子が中学生になって、お風呂を入れるとか着替えさせるとか、いろいろ押しつけるようになりました。私は基本的に、一日中ぼーっと寝ているだけ。カラダを動かすのは彼氏に会いに行くときくらいです。育児をする気が起きません」
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