マニラで財布をすられたら余りにも大変だった 海外で盗難被害「自分は大丈夫」と思う人の盲点
盗まれなかった手持ちの現金は、ズボンのポケットに入っていた2000フィリピン・ペソほどしかなかった。
今回はたまたま同行者がいたからよかったが、もし1人旅だったらもっとヤバい状況になっていただろう。ひょっとしたら空港までのタクシー代金も払えなかったかもしれない。
宿泊しているホテルのホテルマンに警察署の場所を聞いて、訪れることにした。言われたとおりゴミゴミした通りを進んでいくと、それらしき建物を見つけた。中に入って警察官に事情を説明する。
その警察署は盗まれた場所とは管轄が違ったらしい。いったん、警察官とともに現場へ向かい、そのまま管轄の警察署に移動することになった。現場には歩いていくのかな? と思っていると、バイクの後ろに乗るように言われた。
警察官はケタケタと笑うと、
「ジャパニーズ? オーケー! ゴーゴー!」
というと、勢いよくバイクをスタートさせた。フィリピンの道路事情はかなり荒い。ジプニー(乗り合いタクシー)やトラックが激しくクラクションを鳴らしながらブンブン飛ばしている。
その喧騒の中を、警察官はビュンビュンと飛ばしていく。僕はノーヘルでバイクに乗るのははじめてで、風が気持ちよく少しだけ気が紛れた。
しばらく走って僕が財布を落としたと思われる場所にたどりついた。警察官は路上販売をしていた人に事情を聞いた。聞かれた側は、あからさまに迷惑そうな態度で質問に答えている。
「知らないし、見てねえよ。もう帰れよ」
と言ってるんだろうな、と雰囲気でわかった。
その後、再びバイクに乗って管轄の警察署に移動した。署内で警察官同士の簡単な引き継ぎがあった後、僕の事情聴取が始まった。
盗難保険を利用した旅行客の保険金詐欺
僕はそれまでの顛末をそのまま伝えた。警察官はかなり強い口調で、取り調べのような雰囲気になった。
そのときはなんでこんなに強い感じで事情を聞くんだろう? と思ったが、あとから話を聞いて合点がいった。
保険の詐欺をするために、ウソの申告をする日本人が多いのだそうだ。日本で盗難保険に入っておいて、盗まれたとウソの申告をして保険金を受け取る保険金詐欺だ。保険を受け取るためには、現地の警察にポリスレポートを書いてもらわなければならない。
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