マニラで財布をすられたら余りにも大変だった 海外で盗難被害「自分は大丈夫」と思う人の盲点

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店の人に書類を作ってほしい旨を伝えると、恰幅のいい赤いTシャツの男性がパソコンの前に座り、書類作成ソフトを立ち上げた。スリにあった年月日、場所、状況などを説明していく。

書類作成をお願いした代筆屋の外観(筆者撮影)

「なくしたものは、ルイヴィトンの財布と、7万円、運転免許証、クレジットカード、キャッシュカード……」

と説明していると、パンと肩をたたかれた。

見るとお店の若い女性だった。

「ドライバーズライセンス!! なんでそんなの持ってたの! ダメね! 日本人優しいね! 日本人ホント優しいね!」

と日本語で怒られた。フィリピン国内で日本語を勉強しているそうだ。

優しいというのは心根が優しいという意味ではなく“ワキが甘い人”“ちょろい奴”という意味のようだ。

何が何でも「カバンは絶対に前!」

「ここらへん悪い人いっぱいよ! ドロボーいっぱいいるよ! 子どもやレディボーイすぐすり寄ってくるけど気をつけて。それとカバンは前! 絶対にいつも前! 日本人のあなたカバン盗られる、わたし心痛いよ」

と感情をこめて言われ、本当に反省した。

それからも何人にも

「カバンは前!!」

と注意された。皆さんも海外に行ったときは、

「カバンは前!!」

を忘れないようにしよう。

書類の制作には1500円ほどかかった。まずまず高い額だ。同行者がいなかったら、払えなかったかもしれない。

できあがった書類を受け取り、警察署にむかった。警察署の中は前回訪れたときよりも騒々しかった。一般の人がたくさん出入りしている。

先日会った警察官に書類を渡すが、混み合っていてなかなか手を付けてもらえない。しばらく部屋の隅で立って待っていると、少し年配の警察官が入ってきた。

「日本人かい? ドロボーにあったのか? 実は犯人のドロボーはコイツなんだよ!」

と言って、若手警察官を指差した。署内でドッと笑いが起きる。

若手警察官は

「俺はドロボーじゃないから」

と苦笑いで否定して、ポリスレポートを書き始めた。

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