読売がDAZNと「包括提携」に至った両者の思惑 今季から巨人がDAZN放映されるだけではない
3月17日、「読売新聞・読売巨人軍・DAZN(ダゾーン)包括提携発表記者会見」が都内で行われた。壇上には、読売新聞グループ本社・山口寿一代表取締役社長、巨人・原辰徳監督、そしてDAZN日本社長&マネージングディレクター・中村俊(たかし)氏の3人が顔をそろえた。
同6日には、2019年シーズンの巨人主催試合がDAZNで放映されることがすでに発表されていた。それに続く、読売新聞グループをも巻き込んでの「包括提携」と聞いて筆者は驚いた。
日本を代表するメディアグループである読売グループと、日本でのスポーツ配信サービス開始から4年に満たない外資企業のDAZNは、いわば対極の存在であり、「包括提携」などという言葉が出てくるとは想像していなかったからだ。
遠かったはずの両者の提携実現は、いったい何を意味するのだろうか。
DAZNが巨人戦の放映権獲得に向けて動き出したのは4年前。日本でのサービスを開始した2016年8月以前から接触していたことになる。
加入者増をもくろむDAZNにとって、観客動員数が12球団中最多の巨人を配信コンテンツに加えることは、当初から重要なテーマだったのだ。
巨人は日テレをないがしろにはできなかった
しかし、複数回にわたってアプローチを受けた読売側が首を縦に振ることはなかった。山口社長によれば「ジャイアンツはテレビ放送によって育てられてきたという思いが大変強くある」。だからこそ、2018年シーズンには巨人を除く11球団がDAZNと放映権契約を結ぶ状況に至っても、あくまで読売グループ傘下の日本テレビが持つチャネルを優先することにこだわってきたのだ。
巨人戦放映に用いられている日テレ系のチャネルには、「BS日テレ」「日テレジータス(G+)」のテレビ放送と、「Hulu」「ジャイアンツライブストリーム(GLS)」という有料のネット配信サービスとがある。DAZNに放映権を渡せば、それらの利用者、とくにHuluやGLSのユーザーが流出してしまう可能性がある。それは日テレへの「恩義」に背く行為だ、と読売社内では考えられてきた。
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