61歳「女子プロレス」に賭けてきた男の激闘人生 人気団体「スターダム」はこうして生まれた

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人生の大半をプロレスに関わり、いろいろなものを見てきたロッシーさんだが、いちばん充実していた時期はいつなのだろうか?

「今がいちばん楽しいですね。

人生って終盤が大事だと思うんですよ。終盤戦が苦しいのってつらいじゃないですか。僕と同じ年齢の人の多くは業界を去っています。生き残ってやれていることが、すでに幸せですね。まだどうなるかわからないけど、いい終盤戦じゃないかな?と思います」

ただ、現状に完全に満足しているわけではないという。

自分がいなくなっても団体が続いてほしい

「いまいち、上がりきった感じがしないですね。いつも『やった!!』という気持ちにはならないんです。でも、そういう安心しないことって大事ですけどね。

ロッシーさん曰(いわ)く「今やってることは歴史を作ってるってこと」だ(筆者撮影)

人生って短いですね。今が40歳くらいなら、もっと面白いことできるのに!って思います。スターダムは、自分一代で終わらせちゃいけないなって思ってます。今やってることは歴史を作ってるってことなんで、団体が終わってしまったら歴史もなくなってしまうんです。自分がいなくても続けていけるように考えていかなければいけないですね。

メキシコのAAA(トリプレア)という団体に行ったんですよ。その団体の事務所の前に、初代代表者のでかい写真がかざってあったんです。初代代表者は10年ほど前に亡くなってるんですけど、いまだにみんなその人の話をする。死んでるんだけど、団体にとっては生きてるんですね。そういうふうになりたいな、と思いましたね」

ロッシーさんの話を聞いていると、何よりプロレスに対する愛情が伝わってくる。10歳のときに好きになったものを、60歳を超えても愛し続けることができるのは、とても幸せだなと思った。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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