33歳、極めて独創的な「文様」で稼ぐ男の生き方 意味を重ねた物語がつながって広がっていく

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紙だけでなく立体的な物にも緻密な文様を描く、文様作家という不思議な仕事に携わるアプスー・シュウセイさん(筆者撮影)  
これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむと古田雄介が神髄を紡ぐ連載の第61回。

不思議な作品を手がける文様作家

Apsu Shusei(アプスー・シュウセイ)さん(33歳)は、文様作家である。

文様(もんよう)とは、工芸品や建築物の表面を色彩、線、面、形象などで装飾した図柄で「紋様」と書かれることもある。文様作家とは聞きなれない職業だが、文字どおり緻密な文様を描く仕事だ。

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紙に文様を描くこともあるし、靴や石などの立体物に描くこともある。アプスーさんの作品を好きな個人からの発注を受けて、制作する場合も多い。

浅草で開催されているアプスーさんが参加しているグループ展に足を運び、原画を見せてもらった。

アプスーさんの描く文様はただ細かいだけではなく、意味が込められているのを感じる。作品を見て「うまい!」とか「カッコいい!」などという感想はもちろん沸いたが、なにか「祈り」のような気持ちになった。見つめていると気持ちよくなるのだが、同時に取り込まれるような恐怖も感じた。

アプスーさんの文様はただ細かいだけではなく、意味が込められているのを感じられる(筆者撮影)

とても、不思議な作品だと思った。

アプスーさんは、どのような道を歩み、このような作品に行き着いたのだろうか? 個展会場の屋上で話を聞いた。

アプスーさんは、大阪の高槻市で生まれた。

「一応、高槻で生まれたことになってますね。ちょっと複雑なんですよ(笑)」

母親は15歳でアプスーさんのお兄さんを産んだ。そしてアプスーさんがお腹にいるときに、アプスーさんのお父さんは家を出て行ってしまった。

「父親は『日本が嫌だ』って言って、スペインに行ってしまいました。僕が生まれた後は、しばらく母親が精神的に不安定になったので祖父母に預けられていました」

母親の気持ちが落ち着いてからは、高槻市で、一緒に住むようになった。

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