人前で緊張する人が「最初の3分」にすべきこと 冒頭での「自己紹介・時事ネタ」は逆効果

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単刀直入にテーマに入れば、誰でもお客さんの期待に最大限に応えられ、満足度は確実にアップします。もちろん自分の名前くらいは言ったほうがいいですが、速やかに、ダイレクトに、プレゼンのテーマから入ることです。

集中力は、どんなに長くても3分間しか続かない

ポイントその3: 「鉄板ネタ」で魔の3分を乗り切る

ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

聴き手は、ウルトラマンである。

ウルトラマンは、目の前で怪獣が暴れ回って街のビルを破壊していても、仲間がピンチに陥っていても、3分間が経過するとカラータイマーが切れて、地球からオサラバしなければなりません。実は聴き手もウルトラマンと同じなのです。

3分間が過ぎて集中力が切れると、ほとんどの人は眠くなります。では3分間しか集中力が続かない聴き手を飽きさせないためには、どうするか? 実は、とても簡単です。プレゼンの冒頭で、その日の一番おいしい鉄板ネタを持ってくることです。こうすれば集中力を切らさずに最後まで聞いてもらえます。

でも現実には、この真逆プレゼンが実に多いのです。延々と前置きが続き、10分、最悪の場合は30分が過ぎて、やっと本題に入ったりします。聴き手はとうの昔に集中力が切れて、半数くらい爆睡していることもあります。

間違っても、美味しいネタは最後に持ってきてはいけません。

冒頭に美味しいネタを持ってくることが大切ですが、気の利いたネタを用意する必要などまったくありません。冒頭3分を攻略するには聴き手を引きつけるいつもの「鉄板ネタ」で乗り切ることです。最初がすべて。これをしっかりと心に刻み込んでください。極端な話、最後なんてどうでもいいのです。

これには理由があります。人は「自分の判断は正しかったのかな?」と内心不安を抱えています。高価な買い物をした後なのに、買った商品のカタログをじっくり眺めたりすることってありませんか?これは「やはり自分はよい買い物をしたんだ」と自分を納得させるためなのです。これを「認知的不協和の解消」と呼びます。人は認知的不協和を解消するために、自分が正しい理由を探し始めるのです。

これはプレゼンでもまったく同じです。聴き手はプレゼン冒頭で、「この人のプレゼン、いいなぁ」と感じると、話し手がその後少々失敗しても「この人のプレゼンはいいから、何か理由があるはずだ」と、理由を探し始めます。そして「この人のよさは私だけが知っている」という特別感が芽生えるのです。最初がよければ、90%は成功したも同然。プレゼンでは、最初がいいととても得なのです。

『緊張して話せるのは才能である』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

逆に冒頭がうまくいかずに「この人ダメ」と思われると、途中で調子が上がってよくなってきても、聴き手は「でもこの人のプレゼンはダメだから」と、ダメな理由を探し始めます。あれこれ難癖をつけて「ほら、やっぱりよくない」と考えるのです。最初の印象は消すのがとても難しいので、最初で失敗してしまうのはとても損です。

つまり、最初がいいと、最後までいい。最初がダメだと、最後までダメ。

後半に逆転ホームランを打つのは、よほどの天才でもない限り至難のワザですよね。しかも緊張のピークは、最初にきます。だから緊張する人ほど、最初で失敗するケースが多いのです。この緊張の最初のピークを攻略すれば、緊張してもプレゼンで成功できるのです。

このように人前で緊張する人が魔の3分を乗り切るためには、「録画」「3Jは御法度」「鉄板ネタ」がポイントです。ぜひお試しください。

永井 千佳 トップ・プレゼン・コンサルタント、ウォンツアンドバリュー取締役

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ながい ちか / Chika Nagai

桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。極度のあがり症にもかかわらず、演奏家として舞台に立ち続けて苦しむ。あるとき緊張を活かし感動を伝えるには「コツ」があることを発見し、人生が好転し始める。その体験から得た学びと技術を著書『緊張して話せるのは才能である』(宣伝会議)で執筆。経営者の個性や才能を引き出す「トップ・プレゼン・コンサルティング」を開発し、経営者やマネージャーを中心に600人以上のプレゼン指導を行っている。NHK、読売新聞、雑誌『AERA』、『プレジデント』、『プレシャス』、各種ラジオ番組などのメディアでも活動が取り上げられている。永井千佳オフィシャルサイト https://nagaichika.jp/ Twitter: @nagaichika

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