日本人が知らない「ハラル食品」基本中の基本

「豚肉を食べられる」イスラム教徒も存在する

日本ではあまり知られていないイスラムの歴史や文化を理解すれば、イメージが変わるかもしれません(イラスト:『「サトコとナダ」から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史』)
世界に17億人以上いると言われるムスリム(イスラム教徒)。「豚肉は食べてはいけない」などのイメージがありますが、絶対ダメというわけでもありません。日本人が知らない「ムスリムの食文化」「ハラル食品」にまつわる基礎知識を、文化人類学者の椿原敦子氏と、中東・イスラム研究者の黒田賢治氏による共著書『「サトコとナダ」から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史』から一部抜粋し、再構成してお届けします。

最近ではビジネス雑誌を読んでいたりすると、「ハラル・フード」や「ハラル認証」という言葉を見かけるようになりました。もしかしたら飲食店で見たり聞いたりしたことがある人もいるかもしれません。

ハラル・フードは、ムスリムがどう振る舞うべきかを定めるイスラム法上で合法であると認証を受けた食べ物、とちまたでは理解されているようです。

ハラル・フード=ムスリムの食事ではない

しかし実のところ、ハラル・フードといってもイスラム法のすべての考えが反映されているわけではないので、宗派や地域によっては食べることができないこともあります。ハラル・フード=ムスリムの食事ではないので、注意が必要です。

ハラル・フードの「ハラル」はマレー語かインドネシア語の言葉で、アラビア語の「(イスラム法上)許された」を意味するハラールがなまったものです。ハラル・フードとは、ハラルの認証を得られた食べ物のことを指します。2000年代以降、ハラル認証が国家事業としてマレーシアを中心に進められ、近年では食べ物だけでなく化粧品や化粧道具、飲食店などの施設などにもハラル認証が適用されています。

ただしハラル・フード、ハラル認証は特定のイスラム法の解釈と一般状況に準じているので、すべてのイスラム法の考え方と一致しているわけでもありません。例えば、イランに多いイスラム法の考え方として、イカなどの軟体類や貝類、またイセエビやカニなどのしっかりとした殻をもった甲殻類は、法学上では通常の状態で食べることは禁じられています。

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