日本人が知らない「ハラル食品」基本中の基本 「豚肉を食べられる」イスラム教徒も存在する
なぜ食べてはいけないのでしょうか。それはウロコのない魚を食べることは、禁じられた行いと考えられているからです。そのためペルシャ湾岸の町を除けば、魚市場でこれらを見かけることはありません。ところが、東南アジアに多いイスラム法の考え方では、これらを食べることもOKとされているのです。
一般的にムスリムは豚肉や死肉を食べないと言われますが、これも絶対ではありません。生命の危機に瀕していれば食べてもいいとされる場合もありますし、中国の回族ムスリムの一部や、パキスタンの山岳地帯の一部のムスリムには豚肉を食べる習慣があるようです。
このようにムスリムは多様なので、1つのルールでくくること自体が無理な話なのです。そもそも論になってしまいますが、認証そのものが数十年前に始まったことです。それも飲食・食品産業面でのグローバル企業の展開によって、それまでの土地に根差した食文化体系から変化してきたことが拡大の要因にあります。
近年はいろいろな団体が独自の基準で認証を与えているので、ハラル・フード自体が何かわからないということもあります。もっと言ってしまえば、ビジネス化することでハラル概念自体が拡張されてしまうなんていう問題もあります。
禁酒とアルコール問題
ムスリムが口にしてはいけない代表として、豚肉と並んでお酒などのアルコール飲料も知られています。今日では、飲酒は飲食の問題として扱われていますが、歴史的にイスラム法学上ではギャンブルと同じカテゴリーで扱われ禁止されてきました。酒がギャンブルと同じというのは、結果がどのようになるのか不確定である行いという意味です。ちなみに利子も同じカテゴリーで扱われてきました。
ですので、歴史的に見てみれば豚肉を食べてはいけないことと、アルコール類を摂取してはいけないことは別種の問題と見なされてきたのです。飲酒についてはいろいろと解釈があり、ワインはダメだがナツメヤシや干しブドウからつくられる度数の低いお酒ならいいとか、飲んでも酩酊しなければ問題ないという考え方があります。