「給料の不満」は賃金制度改革では解消できない 中小企業にリーダーが育たない根本原因
多くの中小企業では、経営計画が具体性を欠いていたり、経営計画と人事評価制度の結びつきが不十分であったりするために、理想的な人材像を従業員に示すことができていません。結果として評価基準があいまいになって、納得性の低い評価制度になり、社員も成長を実感できず、モチベーションが上がらない。会社が求める人材がどういうものか示されていないのですから、当然と言えば当然です。
では、リーダーが育つ経営計画、人事制度とはどういうものでしょうか。これは、「人材育成」という視点からそれらを捉え直せばわかりやすいでしょう。
経営計画を実現するためには社員全員が成長していく必要があります。そのためにはどんな人材に成長する必要があるのかを明確にすることが大切です。そしてこれを「人材育成目標」として「経営計画」に盛り込み、明示します。
方法としては「現状の人材レベル」を分析したうえで「5年後の社員人材像」を定めます。そして、そこに到達するための取り組みを「ギャップを埋めるために必要な課題」として明示します。この3つの要素で社員に現状と成長目標を把握してもらい、成長の必要性も実感してもらうのです。
この「人材育成目標」は、一般的な経営計画には盛り込まれていない場合が多いです。しかし、ビジョンを実現するためには人材の成長が不可欠です。ここを明確にしていないと、成長に向けた具体的な取り組みは個人まかせ、あるいは上司のレベルや考え方によってまちまちなってしまい、結果として、会社が必要とする人材レベルへの成長スピードを鈍化させてしまいます。
そして、この「人材育成目標」を「評価基準」に落とし込み、人事評価制度を運用します。
「評価制度」の真の目的は社員のランク付けにあるのではなく、会社の理念実現に向けた目標を達成するための人材づくりです。
そのために必要なのは次の4つの要素を評価制度に盛り込み、すべての評価基準を経営計画と密接に結びつけます。
社員を理想の人材にする「評価制度」
2. 計画達成のための「戦略」を、社員の階層ごとに具体的な行動レベルに落とし込む
3. 「5年後の社員人材像」とのギャップを埋めるための課題を評価項目化する
4. 「経営理念」を実現するための「行動理念」の実践度合いを評価する
この「評価制度」の運用を通じて、評価者はリーダーとして重要な能力、部下を育成し指導する力を身につけることができます。運用のポイントを以下、「『評価制度』運用の5ステップ」として簡単にまとめたので参考にしてください。
評価者(リーダー)が評価基準にもとづき、被評価者(部下)の評価を行います。被評価者も自分自身の行動を振り返り、自己評価を行います。
評価は必ず「本人」「直属の上司」「その上の上司」の3者(以上)で行う。
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