ベイスターズが17年ぶり「マルハ」と再会の裏側 マルハニチロが球団創設70周年スポンサーに

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スポーツの持つ健康的で活力あるイメージは、マルハニチロブランドの世界観に重なる。さらには、スポーツが共通の話題や体験となることで、もう1つの課題である“社の一体感の醸成”も図れるかもしれない。

スポーツによるブランディングを具体的に検討する――。それが、アンケートから導き出された結論だった。

一方、ベイスターズの経営権は、TBSを経て、2012年からDeNAに移っていた。経営体制を変えつつ低迷期からの再生を果たした点は、マルハニチロがたどった軌跡と重なる部分がある。

ベイスターズもまた、昨シーズンの観客動員数が球団史上初めて200万人を超えるなど、経営基盤の構築と拡大という第1ステージを終えたところだ。球団広報の1人はこう話す。

「経営権取得以来、『継承と革新』というコンセプトを掲げてきましたが、新しい価値観をつくろうという気持ちが強く、これまでは『革新』のほうの比重が高かったのかもしれません。いま、ようやく『継承』、つまり歴史の部分にも目を向けることができるようになってきた。

球団には経営権が移る前から在籍している職員もいれば、DeNAになってから入社した人もいる。昔のことを完全にはわかっていない人もいるので、球団の歴史を深く知ることは私たちにとってもインナーコミュニケーションになると思います」

ホエールズ時代から知るのは女性社員1人だけだった

2018年の秋、ベイスターズは球団創設70周年を盛り上げる記念イベントなどの企画を練っていた。球団の営業部長、鐵智文が振り返る。

「プロジェクトチームと検討を重ねるなかで、70年のうち50年以上も球団を保有していたマルハニチロさんを外すことはできないと考えました。でも、両社間の交流はまったくなかった。つながりがあるとすれば、ただ1つ、大洋時代から在籍している1人の女性社員だけでした」

球団には、ホエールズの選手経験がある職員は複数いるが、その女性社員は大洋漁業から出向し、そのまま球団職員に転籍して現在に至る唯一の存在だった。女性社員はマルハニチロとの接点を保っていた。

鐵は、か細い糸のようなルートをたどってマルハニチロに協賛の依頼を持ちかけた。その糸が届いた先に、広報IR部長の阿部がいた。

次ページ最初の提案は昨年の11月だった
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