マツダ、EVでロータリーエンジン復活へ 走行距離を延ばす秘策に

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人見執行役員は、「カリフォルニア州の規制は、発電に伴う二酸化炭素排出量の見積もりが実態より少なく、EVやPHVなど電動車両を優遇した規制となっている」と批判するが、対応しないわけにはいかない。

もちろん、クレジットを買うか罰金を払うという手はある。マツダ社内でも議論されたというが、「罰金やクレジット購入の方がコスト的に安くても、対応しないと技術力が劣っていると見なされたり、ブランドイメージに悪影響がでたりするおそれもある」(開発担当者)と、自前での開発を決めた。

システムの外販も想定

とはいえ、トヨタ自動車の「プリウスPHV」やホンダの「アコードPHV」、三菱自動車の「アウトランダーPHEV」などのような本格的なPHVを、一から開発するのは現実的ではない。そこで独自のロータリーエンジン技術を活用し、いわば簡易的なシステムを考案したわけだ。

マツダは自社のEVに搭載することを検討しているほか、小型EVであっても後付けで簡単に装着できるため、システムとして外販することも想定している。中堅メーカーはどこも規制クリアに頭を悩ませており、一定の需要が見込めるかもしれない。

意外なところに転身先を求めたロータリーエンジン。だが、人見執行役員は、「通常の自動車エンジンとしてのロータリーエンジンをあきらめたわけじゃない。エンジン屋としてはレンジエクステンダー用で満足できない。課題はわかっている。改善して再商品化を目指す」と力を込める。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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