マツダ、EVでロータリーエンジン復活へ 走行距離を延ばす秘策に
マツダは市販化について未定とし、量産時のコストも明らかにしていない。だが、ロータリーエンジンを使ったレンジエクステンダーEVは、ピストンエンジンを使うより部品点数が少なく、製造も簡単なため、コストは安く済む見込みだ。
商品化されたレンジエクステンダーEVはまだ少ないが、たとえば、BMWが今年発売した「i3」の場合、647ccの発電用ピストンエンジンを用いたシステムが約40万円。マツダのシステムはそれより大幅に安くなりそうだ。
自社の象徴的な技術であるロータリーエンジンを用いたPHVを公表したマツダ。本格的にPHVに参入かと思わせるが、実際はそうではないという。
エンジンの開発を担当する人見光夫執行役員は、「現行のガソリンエンジン、ディーゼルエンジンを進化させれば、ウェル・ツー・ホイール(石油の採掘から走行まで)でEVなみの二酸化炭素排出量を実現できる」と話す。他社が二酸化炭素削減のために取り組んでいる電動化(HV、EV)や過給(ターボ)は、「コストが上がる割に二酸化炭素削減の効果が低い」と断言する。
マツダはあくまで自然吸気(ノーマル)エンジンの高効率化を追求する方針だ。
米国の規制強化に対応
ではなぜPHVを開発したのかといえば、米国カリフォルニア州での環境規制に対応するためだ。同州では大手自動車メーカーに対して、一定数量のゼロエミッションカー(ZEV)の販売を義務付けている。
ZEVとは二酸化炭素を排出しない自動車で、EV(燃料電池自動車含む)、HV、PHV(プラグインHV)が対象だ。この義務をクリアしない企業は罰金を払うか、他社からクレジット(規制を超過達成した企業はその権利を販売できる)を買う必要がある。カリフォルニア州はこの環境規制を2018年に強化。現在は大手メーカーだけが対象だが、2018年以降はマツダなどの中堅メーカーにも広げる。
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