フェイスブック、いきなり「方針転換」の危うさ ウィーチャット型「個人の対話重視」目指す

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当然ながらウィーチャットにも弱点はある。中国政府により厳しく検閲されているのだ。

フェイスブックとテンセントにコメントを求めたが、両社とも回答はなかった。

ザッカーバーグは個人間の対話へのシフトがフェイスブックの事業に与える影響について、多くを語らなかった。同社の事業は、ターゲット広告を可能にするユーザーによる投稿に頼っている。

「ウィーチャットペイ」のすごみ

ザッカーバーグはフェイスブックの投稿で、人々がやりとりするためのより多くの手段を構築するとの意向を示し、それには「電話やビデオチャット、グループ、ストーリー、ビジネス、決済、コマース、そして究極的にはさまざまなプライベートなサービスのプラットフォームを含む」とした。

しかし、ザッカーバーグがこれらの機能をすべてフェイスブック上で構築できるかどうかは不確かだ。

ウィーチャットの場合は、こうしたサービスはモバイル決済システム「ウィーチャットペイ」に支えられている。決済がメッセージサービスと結びついているため、フードデリバリーの注文からホテルの予約、ライドシェアの配車依頼、支払いに至るまで簡単にできる。ウィーチャットペイだけで月間アクティブユーザー数は9億人に達する。

ウィーチャットペイでは、送金や個人向け金融商品の購入もできる。テンセントによれば、ウィーチャットの個人向け金融商品の購入者は1億人を突破し、販売額は昨年6月までで5000億元(約8兆3000億円)を超えたという。

こうした決済機能を持たないフェイスブックがウィーチャットのようなサービスを目指すには、多くの国々で銀行業と決済業の免許を取得しなければならない。フェイスブックが検討している決済サービスの1つが、新たな仮想通貨を利用したもので、つながっているユーザー同士で送金できるようにするのが狙いだ。

フェイスブックを個人間の対話サービスにシフトさせるために、ザッカーバーグがウィーチャットの創設者であるアレン・チャンから学べることはほかにもたくさんあるだろう。チャンは優れたサービスを完璧なまでに追求することで知られる。

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