死産した子と最後を過ごせる「ゆりかご」の存在 赤ちゃんの遺体を保全する「カドルコット」
「私たちは2人を抱き、いかに愛しているかを伝え、洗礼を受けさせた。2人といつお別れをするか決めることができたのは、12時間ほど経ってからのことだった」
カドルコットの寄付を決めたことについて、クリスはこう話した。「私たちの子どもたちを追悼する方法を考えた。ほかの親たちに、亡くなったわが子と過ごす時間をプレゼントすることがいちばんだと思った」。
イギリスでは92%の病院が導入
フリッカー夫妻はすでに、新たなカドルコットを寄付する資金を集めている。次は十分なサービスが行き届いていない地域の病院に提供する予定で、「寄付がなければこうしたものを使うことができない大勢の人々に影響を与えることができる」とクリスは言う。
カドルコットを寄付することは赤ちゃんを亡くした家族にとって、自分たちに起きた悲劇を善い行いにつなげる手段となると、ノースウエスタン・メディスン・ハントリー病院の産婦人科医トレイシー・アーガバニは言う。
エミリー・フリッカーによれば、アメリカの病院でカドルコットを導入しているのは400〜500施設ほどで、大半は彼女たちのような経験をした家族からの寄付だという。
カドルコットはイギリスで開発され、同国では毎日約10人の赤ちゃんが死産で生まれている。製造元のFlexmortによると、イギリスでは92%の病院が1台以上のカドルコットを導入している。
カドルコットは重量3.6キロほどで、ゆりかごのマットレスの下に冷却装置がついている。保冷することで、体内組織の悪化を遅らせて亡くなった赤ちゃんを保全し、できる限り外見を美しく保つ。