死産した子と最後を過ごせる「ゆりかご」の存在

赤ちゃんの遺体を保全する「カドルコット」

カドルコットのような装置がない場合、死産の赤ちゃんはすぐに病院内の遺体安置室に運ばれ、悲しみに暮れる親たちが接する機会は限られる。親たちは、赤ちゃんの見た目に悪い印象を抱くため見ないほうがいいと言われることも多い。しかし、カドルコットに入れられた赤ちゃんは、まるで眠っているようだ。

カドルコットは赤ちゃんとの思い出を作ることができるだけでなく、限定的ではあるが、子どもの死を受け入れ、気持ちに区切りをつけるための時間を親たちにより多く与えることができる。

わが子の死から立ち直る後押しに

「女性は妊娠がわかるとすぐに赤ちゃんのための計画を立て始める」と産科医のアーガバニは指摘する。「赤ちゃんを失うのは、夢を奪われるようなもの。死産を経験することは、生まれた後に子どもを亡くすのと同じだけ胸が痛いものだ」。

生まれる前に赤ちゃんが死亡した場合も、母親は生存能力のある赤ちゃんと同じように出産をしなければならない。そうしたケースでは、「女性たちは、赤ちゃんを抱っこしたいのかわからないと不安になることが多い。カドルコットによって赤ちゃんは母親と同じ部屋にとどまり、親たちに決断に必要な時間を与える」とアーガバニは言う。

カドルコットはアメリカでは新しい装置だとエミリー・フリッカーは言う。「私にはないことが考えられない。私たちはとても助けられた。すべての病院にカドルコットが導入され、寄付に頼るだけではなくなることを願っている」。

フリッカー夫妻は2764ドル(約30万円)でカドルコットを購入しており、大半の病院は購入する財政的余裕があるはずだと妻のエミリーは考えている。

カドルコットを寄付をしたことは、わが子の死から立ち直る後押しになったとフリッカー夫妻は言う。エミリーは、臨月を迎える前に子宮頸管が開いてしまう子宮頚管無力症と診断されだが、手術によって改善した。彼女は今、再び妊娠に挑戦することができる。

(執筆:Jane E. Brody、翻訳:中丸碧)

(C) 2019 The New York Times News Services 

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