《座談会》大量採用世代の今--メガバンクの社内競争は熾烈、2年目で3分の1が退職
Aさん(男性) メガバンク総合職。入行2年目。都内私立大学卒業。
Bさん(女性) 大手証券会社総合職。入社2年目。都内私立大学卒業。
Cさん(女性) メガバンクのエリア限定総合職。入行4年目。都内女子大卒業。現在は首都圏の支店に勤務。
Dさん(男性) メガバンク総合職。入行2年目。都内国立大学卒業。
--現在の業務内容について教えてください。
Aさん 中小法人の営業を担当しています。ただ会社のオーナー、従業員にもアプローチするので、結果的に個人営業もしている。貸し出しから外為、金融商品の販売まで、すべてやっています。
Bさん 個人や未上場法人の営業を担当しています。株式、投資信託、債券、年金保険など、扱う商品は幅広いです。カネになることなら何でもやる、という感じですね。
Cさん 支店で住宅ローン中心に扱っていますが、個人向け貸し出しや外回りなどもやります。
Dさん ある企業グループの与信管理を担当しています。ほとんどは書類作成などのルーチンワークが中心です。合併の影響で書類の形式が出身行ごとに違うため、さまつな文章の違いで書類作成に手間取ることが多いですね。
--みなさんは大量採用世代といわれます。同期は何人いますか。
Cさん 私の同期は一般職も入れて1000人います。そのうちエリア限定総合職は250人です。私たちの次の年から採用が増えましたから、どの金融機関でも2006年~08年入社が特に多いと思います。
Aさん 僕たちがまさにその世代。一般職を含めれば、同期は2000人です。就職活動中、銀行は「ザル」と言われてましたね。面接に遅刻さえしなければ、誰でも通る。
--入社前のイメージとギャップはありますか。
Aさん 予想以上に堅いですね。つねに年功序列。支店であれば、支店長の指示は絶対。「王様」ですね。支店の雰囲気は、すべて支店長によって決まります。
Bさん 金融機関は汗をかかないで、頭を使った仕事というイメージがあったんですが、まったく逆。就職活動中、真剣に会社研究していなかったなあと思います。
Cさん 就活中も感じていたのですが、男女格差が激しい。入行後も大卒男性はすぐに外回りですが、女性は窓口業務から。「どうせ辞めるんだろう」と露骨に言われたこともあります。
--競争は厳しいですか。
Bさん とにかくノルマ至上主義。年次、支社ごとに個人成績が毎日発表されます。上位だけでなく全員ですよ。支店同士も競争していますし、毎日勝った、負けたの繰り返しです。
Aさん 成績が悪いとムチャクチャ言われますね。モノを投げられたり、蹴られたりすることもしょっちゅうですよ。「まだ若いんだから、転職したら」とまで言われる。まあ、それも支店長次第だと思いますが。ちなみに、うちの支店長は次の役員間違いなし、と言われています。
病気名目で休む人も多いですよ。休職扱いなら6割の給与が出ますから。ある意味うらやましいです。
--同期の中にはすでに辞めた人もいるのですか。
Bさん 辞めた人は多いですよ。同期の女の子には入社2日で辞めた子もいます。毎日シャツを着る生活はイヤだと。何でうちに就職したのかと思いましたけど。
今2年目ですが、総合職・エリア総合職の同期はすでに3分の1辞めています。でも人事の人からは「想像以上に残っている」と言われました。3年で3分の1残る、というのが当初の見通しらしいです。
Dさん うちは人数が少ないこともありますが、2年目で退職した同期は1人だけ。定着率は例年になく高いほうです。少なからず現状に不満を抱いていますが、転職市場が厳しいので、みんな慎重ですね。