《座談会》大量採用世代の今--メガバンクの社内競争は熾烈、2年目で3分の1が退職

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--大量採用となると、同期の中の競争も厳しそうですね。

Cさん 人それぞれだと思います。同期の中でも意識、レベルの差は大きいです。大量採用といっても支店で同期は1人だけですし。今はタテの関係をどう作るかですね。

Dさん 大量採用による人材のだぶつきは感じますね。例年なら営業部の中で何かしらの担当を任されるのが通常ですが、同期については、能力がないと見なされた人は、一般職がやるような書類作りをさせられ、なかなか担当を持たされない。すでに、仕事のできる人、できない人の差がついてきた感じです。

--待遇面や福利厚生についてはいかがですか。

Bさん 最初の給料をもらったときにこんなに安いかと。2年目から住民税の負担がありますが、残業代を除いた給与がマイナスでびっくりしました。金融機関は周りが思うほど高給を取っているわけではありません。役付にならないと給与は低いままです。

Cさん 先輩たちを見ていると、産休もなかなか取れないようです。そんな雰囲気ではない。出産を機に辞める先輩も多いですね。一度辞めて育児が手を離れてから、パートとしてまた働く女性が多いです。銀行は事務処理などパートに頼っている面が多いですから。

--研修制度は充実していますか。

Dさん 入行後半年は銀行業務全般に関する研修を受け、その後半年は営業部で書類作成の研修、2年目に本配属という流れです。さまざまな学部の出身者がいるため、経済や金融の知識がないことが前提の教育でした。経済のゼミで一定の知識を持つ自分にとっては、乏しい内容という印象を受けました。

Aさん 若手社員を対象に希望の職種を聞く制度があります。そのために銀行の仕事内容を解説した分厚い冊子まで用意されているんですが、あれは世間に見せるためのポーズですね。上司からは「こんなもの形だけだから、さっさと書いておけ」と言われました。

うちも1年目はいろいろな部署を回るんですが、その後の集合研修でみんなに会ったとき、少なくとも私の周りで「この会社で働きたい」と言っていた同期はゼロでしたよ。とにかく、今は日常の業務をこなすことで手いっぱいです。

--将来のキャリア形成についてどう考えていますか。

Bさん 出世欲はみじんもありません。入社前からずっとこの会社で働きたいと思っていませんから。自分の周りにロールモデルになるような先輩も見当たりません。マーケット分析に興味があり、スキルを磨いて別の会社で実現できたらと思っています。

Dさん 私もそもそも銀行に残ることは考えていません。実際にルーチンワークが多く、長く勤めようという気にならない。今は転職市場が厳しいので、数年働いて基礎知識をしっかり身に付けてから、身の振り方を考えたいと思っています。

Cさん 私も以前はそう思っていましたが、少し考え方が変わりました。4年目になって少しずつ責任ある仕事を任されるようになり、やりがいを感じています。尊敬できないなと思う上司も、実はすごく勉強していることがわかったり。

Aさん 苦労は多いですが、銀行はクビにはならない。それだけでも恵まれているのかもしれませんね。

(週刊東洋経済)

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