不毛な印パ争いに翻弄されるカシミールの不幸 パキスタンの自爆テロで再び緊迫化
インド政府が言うところの過激派の訓練施設を爆撃するため、パキスタン内に戦闘機を送り込んで以来、インドには好戦的な雰囲気が強く漂っている。インドは長らく、カシミール分離独立組織を支援しているとしてパキスタンを非難してきた。今回の空爆は、40人以上が犠牲となったインドの治安部隊を乗せたバス攻撃(注:2月14日の自爆テロ)に対するものだった。この爆撃は、過去数十年にカシミールで起きた攻撃のうち、最も破壊的なものだった。
カシミールの過激派との関係を否定しているパキスタンは、2月27日、インド空軍機を撃墜して反撃。両国とも核兵器を保有しているだけに、周辺地域の危機感は急激に高まっている。
モディ首相の行動は「許しがたい」
しかし、数え切れないほどの会議を開き、緊張を和らげるために動いていた西側の外交官たちは、3月1日には多少リラックスしたようだ。彼らは期待を込めて「峠は越えた」と繰り返していた。
一部の外交官は、インドがさらに空爆を行うとすれば、インドのナレンドラ・モディ首相が侵略者のように見えてしまうことになるし、パキスタンのカーン首相には、事態をさらに悪化させる動機はないと話す。カーン首相の優先事項は、低迷するパキスタン経済を再生することであり、これまでのところ、同首相はこの件では国際的な世論という裁判所で勝利しているようだ。
パキスタン軍は、インド軍部の誇りであるインド空軍パイロットを捕らえた。そして、カーン首相の自制と平和への呼びかけは、たとえ利己心によるものであっても、世界中で受けがよかった。インド人にさえ、である。
「カシミール紛争におけるパキスタンの役割がどんなものであったとしても、パキスタンのイムラン・カーン首相は、威厳と清廉を持って行動した」と左翼インド人作家のアルンダティ・ロイはハフポストに掲載されたオピニオンに書いた。
モディ首相については、国家間の原子力紛争というつねにある可能性を暗に言及し、彼の行動を「許しがたい」とした。「彼は、十億を超える人々の命を危険にさらし、カシミールでの戦争を普通のインド人の玄関先に持ってきた」。
しかし、多くのインド人は、モディ首相に忠実である。