東京五輪後に「全国住み放題」が広がる理由

空家活用の新モデル、仕掛け人が描く青写真

――サービス普及には空き家物件をどれだけ集められるかもカギとなります。目標とする20万戸の物件をどう集めますか。

今後、地方中核都市の福岡市ですら人口が減っていく時代に入り、空き家のさらなる増加が予想される。2030年代には2000万戸の空き家が出るとも予想されており、20万戸と言っても、そのわずか1%にすぎない。

今後、都心部近郊でもベッドタウンなどで空き家が増えると予想される。私たちのサービスは当初、都心部の人が地方の物件を利用するのがメインの使われ方になるが、すでに地方の人からも「都心部に行くときに利用したい」という問い合わせを多くいただいている。地方の人は上京する際、恵比寿や渋谷に住みたいという人ばかりではない。東京の郊外でもいいから住みたいという人も多くいる。そうしたニーズに応えた物件も供給していけたらと考えている。

ただし、空き家は数が多くても、賃貸市場には出回りにくいという課題がある。それについては、全国の空き家オーナーとのネットワークを持つ「R不動産」や、空き家物件の売買を手がける「カチタス」などと提携している。彼らが持つ物件のネットワークと、われわれが得意とするシェアビジネスとをうまく連携させたい。

ANAと提携し、航空チケット付きサービスも

――全国住み放題を利用するには、移動費もネックとなります。

福井県美浜町の拠点。室内の家具やアメニティグッズはパートナー企業から調達する(写真:アドレス)

全日本空輸(ANA)と提携したのはまさにそこが狙い。日本の地方都市は飛行機に乗れば1~2時間で行けるところが多くある。もちろんサブスクリプション(定額利用サービス)モデルで、飛行機乗り放題のサービスがあれば最高だが、そこまでいかなくても月1回1往復できる航空チケット付きのサービスを用意できれば、もっと手軽に全国を行き来できる。

今、ANAと実証実験を進めており、半年以内にはシステム開発も含めて実現したい。また鉄道会社など、ほかの業者とも話し合いを進めている。

――そもそもシェアリングエコノミーが普及する中、「住み放題」のサービスがこれまで根付かなかったのはなぜなのでしょう。

法的な問題の複雑さが一因だろう。仮に住み放題が「宿泊」と見なされ、旅館業として許可を取る必要が生じれば、住宅地域で利用できないほか、避難経路を設けるなどの義務が課される。それではやりづらい。私たちはそもそも、旅を提供したいわけではなく、全国を行き来する人を増やしたい。だからこそ賃貸業に当たると考えており、宿泊施設と何が違うのかを弁護士と何度も話し合い、「これでいける」というところまで念入りに法的な準備をしてきた。

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