JR「ダイヤ改正」から読み解く各社の損得勘定 列車本数の増減は、収支をどう変化させるか

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もう一つは水戸線の動向である。今回のダイヤ改正で水戸線の車両はE501系電車とE531系電車との混用から、製造時期の新しいE531系電車へと統一されるという。E501系は老朽化も手伝って車両故障が目立っており、小山―小田林間での直流電化(小山駅方)と交流電化(小田林駅方)との切り換えは機器に負担を強いるので運用から外したいというJR東日本の考えはよく理解できる。

一方でおそらくは現状のE531系の両数では水戸線の現状の全運用をまかなうには車両が不足するのであろう。輸送需要が減少した下館―友部間で列車を2本削減し、さらには常磐線の水戸駅方面に乗り入れている列車の一部を友部駅での折り返しに変更した点がこうした事情を物語る。

収益力高い東海道新幹線

今回のダイヤ改正でJR東海は東海道新幹線の東京―新大阪間に「のぞみ292号」を主に休日の翌日に新たに運転し、東海道線金山―米原間に運転されている特別快速2本に対しては岡崎―金山間を延長して岡崎―米原間の運転に改めるという。2019年度では休日の翌日は72日という点を考慮し、JR東海は年間の営業収益が6億8911万円増加し、よって営業収支改善額も同額に上ると予想される。

注目したい点は東海道新幹線の高い収益力だ。「のぞみ292号」を1本、それも年間に72日走らせるだけで年間の営業収益の増加額は4億7480万円にも上る。この数値は16本の列車を増発したJR北海道で見込まれる年間の営業収益増加額である1億0646万円の4.5倍にも達するのだ。

仮に東京―新大阪間に1本の「のぞみ」を2019年度の1年間を通じて走らせたとしよう。営業収益の増加額は24億1357億円となって、まさに「お化け列車」というほかない。

なお、「のぞみ292号」は新大阪6時30分発で東京8時59分着となる。現行のダイヤでは新大阪6時27分発の「ひかり506号」、同6時33分発の「のぞみ102号」(姫路始発)のいずれも東京行きが控えており、同駅では6時00分発、6時03分発、6時08分発と東京駅へと次々に列車が出発することを考えると6時台の新大阪駅は列車の運転密度の高い時間帯だ。

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