製薬業界でいま、「希望退職ドミノ」のなぜ

協和発酵キリンに続き、エーザイ、鳥居薬品も

国内首位の武田薬品工業が欧州製薬大手シャイアーを6兆円超で買収したのも、日本の製薬企業の過去の反省を踏まえた動きといえる。エーザイもアメリカのバイオジェンやメルクと重点疾患分野での共同開発・商業化の過去にない大型提携を打ち出し、グローバル競争という荒波に漕ぎだそうとしている。

武田ではシャイアー買収に先立ち、希望退職という言い方ではないが、すでに大幅に人員を削減している。典型例が旧湘南研究所(現・湘南ヘルスイノベーションパーク)だ。最盛期に1200人いた社員は2017年3月末には1000人に、2018年3月末には522人へ急減した。研究機能の一部を外部へ売却、社内部門を独立化させて本体から切り離し、研究開発に携わる社員を中心に本体の社員数を大幅にスリム化している。

第一三共も同じような手法を採った。大阪の高槻工場(子会社)を化学メーカーで医薬品事業育成を進める太陽ホールディングスに今年10月に売却する。工場の社員約340人は、原則として太陽ホールディングスに転籍する見通しだ。

外資系も日本拠点の人員を削減

日本市場縮小の影響は外資系製薬大手とて免れない。2018年にはベーリンガーインゲルハイム、ノボ・ノルディクス、サノフィなどで日本拠点の人員削減の動きが明らかになった。

現在、大手・準大手にとどまる人員削減の動きは、今後は中堅以下の新薬、後発薬メーカーに広がるのは必至だろう。薬価制度の抜本改革で、長期収載品の薬価を後発薬並みに引き下げる新ルールが導入された。長期収載品への収益依存度が高い中堅以下の新薬メーカーにはボディブローとして効いてくる。

後発薬メーカーも安閑としていられない。2020年9月までに数量ベースで80%に引き上げる後発薬普及目標の期限まで残り1年半に迫り、成長鈍化は避けられない。2020年9月以降は後発薬の価格が下がり、市場が縮小に転じて、近い将来、後発薬メーカーの再編も避けて通れないだろう。

業績は安定し、とくに大手の給与水準も高く、倒産の恐れもほぼないといわれた製薬会社の姿はすでに過去のものになった。製薬会社にも本格的な寒風が吹き始めようとしている。

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