かつては、線路に耳をあてて列車の音を聞くという風景が当たり前のように語られたりもした。線路を家路にするという風景もあった。
列車の速度も本数も多くないのんびりした時代あるいは路線では、線路立ち入りを許してもそれほど危険も多くなく、処罰の要請も高くなかったということもあるかもしれない。
列車制御システムが複雑でない時代には線路立ち入りが列車運行に及ぼす影響はさほどでもなかったということなのであろう。
しかし現代ではそうともいえない。確かに、地方路線では相次ぐ減便でむしろ危険が減ったといえる路線もあるかもしれないが、列車の高速化、増発がなされている路線も多い。線路脇にさまざまな機器が設置されるようにもなった。
「黙認」ではなくなってきた
社会的にも線路立ち入りについては厳しい目が向けられるようになり、黙認されるということもなくなりつつある。
新幹線では、「新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法」(新幹線特例法)では、線路立ち入りについて1年以下の懲役または5万円以下の罰金とされている(同法3条2号)。
新幹線の列車が主たる区間を時速200km以上で高速運転されているため、その運行の安全を妨げる行為をより罰する必要があるからである(同法1条)。
しかし、いまでは在来線の高速列車の速度も向上しつつある。例えば、京成電鉄の「スカイライナー」は最高時速160kmで運転されており、時速200kmには達しないものの相当程度に高速化している。
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