さらに、新幹線特例法が速度による区別だけでなく新幹線と在来線の線路の構造にも着目しているとしても、在来線でも制御システムや線路付近の構造物は高度化しており、それで区別する必要性は小さい。
物理的な線路の構造も連続立体交差などで新幹線と同様閉鎖的な線路も増えている。
いまや線路立ち入りによる影響は新幹線でも在来線でも質的に変わるものではない。重大な影響を未然に阻止するために線路立ち入りを罰する利益は「科料」で済まされるようなものではないように思われる。実際上の処罰に不都合がない、ということで正当化できるものでもない。
それにもかかわらず、100年ひと昔のように線路立ち入りに対する処罰が「科料」にとどめられているのはいかがなものであろうか。
鉄道営業法は、鉄道輸送の具体的なあり方を定め、旅客等の安全と円滑な利用を確保するために定められた法律である。もちろん今でも存在してしかるべき規定が多い。
現代にそぐわない規定も
しかしその一方で、「座席がある場合に乗車可」(同法第15条2項)とか、「乗車券に記載された駅に下車しなかったとか、乗車券に指示された等級よりも優等な車両に乗ったら罰金または科料」(同法第29条)といったような、現代の鉄道の営業風景にはそぐわない規定がカタカナ書のまま残されている。
また、鉄道営業法を受けた鉄道運輸規程(これもカタカナ書)についても、前回記事(2月15日付「不正乗車は『運賃3倍』徴収、時代に合っているか」)で言及した増運賃制度を2倍までと規制(鉄道営業法第18条2項、鉄道運輸規程第19条)するのがいいのかという疑問がある。
さらに、鉄道運輸規程では、6歳未満の者は原則無賃(同規程10条第1項)、12歳までの者の運賃を半額とするということも規定されているが(同規程第10条第3項)、ほかの施設などの利用料金がそれ以上に細分化されていることなどに照らして、このような一律の扱いを前提とした規定のままでいいのか、ということも検討されるべきであろう。
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