鉄道営業法が制定されたのは1900(明治33)年。日本国内を初めて鉄道が走った1872(明治5)年から28年後のことである。
当時の鉄道は、明治政府の全国的統一、富国強兵、殖産興業政策を推進するための、人や物を運ぶ陸運の重要な輸送手段の位置づけであった(国交省HP内「日本鉄道史」)。
1881(明治14)年には日本鉄道会社が発足するなど私設鉄道建設のブームが訪れ、1906(明治39)年には鉄道国有法によって国有化による鉄道の全国的な発展が進められた時代である。
鉄道営業法は現代に合っているか
今では、当時国有化された鉄道も民営化。鉄道事業者の企業理念の中でも交通機関として「安全」をうたうのはもちろん、「お客様へのサービス」を言及するものも多い。
例えばJR東日本の企業理念の中には「私たちは、『究極の安全』と『サービス品質の改革』に向けて、挑戦を続けます」とある。
鉄道は今も昔も重要な輸送手段であり公共交通のひとつである。その視点からの営業に対する規制の必要性自体は今も変わらない。
しかし同時に、輸送手段が多様化し輸送に付加価値が生ずる現代では、鉄道のサービス業としての側面も無視できない。一律に法令で規律するのが時代にそぐわなくなっている部分もあるのではないだろうか。
形式面からみても、カタカナ書の法律はイメージ的に権威主義的な香りが残り、市民から見て法令になじみにくく遠いままにしてしまう。鉄道営業法も現代の鉄道にそぐわないところがあるかどうかを、いま一度、形式面、実質面の両面から検討をする時期にあると思う。
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