「無趣味になっていく日本人」の実態と背景事情 消えていく多数の趣味、浮上する3つの趣味

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というわけで、1994年から聴取をはじめ、2018年に堂々過去最高を更新した歴戦の“ツワモノ”をご紹介しましょう。

●その3「食べ歩き」
1994年17.6%→2018年20.9%(+3.3ポイント、過去最高)

冒頭のベスト10に20年間ランクインし続け、かつ、スコアを伸ばしたのはこの「食べ歩き」のみ。2018年の内閣府「経済財政白書」では、外食産業の売上高増加が報告されていますが、その要因の1つとして「食べ歩きの関心の高まり」が挙げられているほどです。

今の時代にもマッチした「底堅い」趣味

昨今の食べ歩き模様を見ようと、東京・原宿に行ってみました。軽食や衣料品、雑貨を売る店がひしめく一画は、平日にもかかわらず、制服姿の学生や観光客など若い人を中心にすごい賑わい。手にしたカイロにすがりたくなるような寒さの日でしたが、温かいスナック類だけが買われているわけでもなく、冷たいドリンクやアイスクリームを片手にそぞろ歩く人たちもちらほら。

様々な軽食店にお客さんの列ができていましたが、訪れた時に特に人気だったのがタピオカミルクティーとチーズドッグのお店。前者は長蛇の列を見て、思わず「すごいな……」と声を上げてしまったほど。その日のお客さんは女性が目立ちましたが、店員さんに聞くと「男性のお客さんも結構いますよ」とのことでした。

品物を受け取りつつ周りのお客さんを見回すと、食べる前の「撮影タイム」がもはやお約束のよう。手にした品物を顔に近づけて友達と自撮りをしたり、背景に店舗が入るように品物をかざして撮ったり。“SNS映え”しそうな巨大な商品オブジェを店先に置いているお店もあり、「どんどん撮ってください!」といわんばかりです。

金額も数百円程度と、本格的な飲食店での外食に比べてフトコロにやさしく、インスタグラムなどのSNS浸透によって“自己表現”の価値も上乗せされた「食べ歩き」。今の時代にもマッチした「底堅い」趣味だなと感じさせられます。

平成の期間に進んだ「趣味離れ」はこの先も続くのか? 10年後・2028年の趣味ランキングで、ヨガやモバイルゲーム、食べ歩きはどうなっているのか? そんなことを入り口に、少し未来に思いを巡らせてみるのも面白いかもしれません。

【参考情報】
「生活定点」調査概要
調査地域:首都40km圏、阪神30km圏
調査対象:20~69歳の男女3080人(2018年・有効回収数)
調査手法:訪問留置法
調査時期:1992年から偶数年5月に実施(最新調査は2018年5月16日~6月15日)
三矢 正浩 博報堂生活総合研究所・上席研究員

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みつや まさひろ / Masahiro Mitsuya

2005年㈱博報堂入社。PRプランナーとして民間企業・官公庁等の広報戦略立案・施策実行を担当。2009年より㈱博報堂ブランドコンサルティングにて民間企業のブランド戦略立案等に従事。2011年にPRに復職した後、2016年より現職。2018年のみらい博「進貨論~生活者通貨の誕生~」主担当を務め、外部での講演・寄稿も多数。

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