砂糖工場の“甘くない"コスト削減の現場 三井製糖が60億円投じたリニューアル効果とは?
三井製糖は3年前から約60億円を投じて、神戸工場のリニューアル工事を行った。岡山工場の精糖生産を2012年9月に中止して神戸に集約する一環で、グラニュー糖、上白糖の新包装工程を増設し、今年1月から新態勢での稼働を始めた。
国内砂糖消費量の漸減によって、工場稼働率は岡山、神戸とも5割を切っていたが、統合によって神戸工場は8割超を維持できるまでに持ち直している。
工場の広さは約4.6万平方メートルで、甲子園球場の1.2倍ほど。冒頭の原糖倉庫は最大4万トンを保管できる。砂糖を作る工場の能力は、原糖を溶かした状態にする溶糖能力で測られる。神戸工場は1日当たり1000トンの溶糖能力を擁する。
砂糖はどのように作られる?
倉庫にうず高く積み上げられた原糖は、どのようにして砂糖になるのか。
まず、分離機で原糖から不純物を取り除いた後、溶解して糖液にする洗糖工程、糖液に炭酸ガスを吹き込んで不純物を凝集した後にろ過する清浄工程、イオン交換樹脂を通してさらに不純物を取り除いて無色透明の純度の高い糖液にする脱色工程などを通す。さまざまな方法で不純物を除去するわけだ。
脱色した糖液にUV(紫外線)で殺菌などを施せば、冷菓や飲料など業務用に使われる液糖ができる。一方、濃縮した糖液を真空結晶缶と呼ぶ巨大な筒状の機械の中に入れると、さまざまな大きさの砂糖の結晶になる。結晶を製品分離機で結晶と蜜に分離して乾燥、冷却すれば、グラニュー糖や上白糖など、それぞれの砂糖製品ができあがる。
上白糖は結晶が細かく、しっとりとしている。料理、菓子、飲み物など万能で、どこの家庭にもある砂糖。日本で砂糖というと上白糖を指すのが一般的。グラニュー糖は結晶が上白糖より大きく、コーヒーや紅茶に使われる。ほかに、甘さも強く、特有の風味がある黄褐色の三温糖は、コクや甘みを出したい煮物や佃煮に使われる。砂糖の種類は日本がいちばん多い、といわれる。
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