「統計偽装国家」日本が中国を全然笑えない現実 毎月勤労統計の不正が映す政府・官僚の腐敗

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今回の毎月勤労統計も「実質賃金が上がらない」とされてきた批判をかわすために、調査方法を変更することで実質賃金を大きく伸ばそうとしたフシがある。

今回の勤労統計の例を見ればわかるように、官僚による統計の操作は昔からあった。しかし、アベノミクスが始まる前と後とではその意味合いが大きく違う。それまでの官僚による統計の操作は、自分自身の都合による操作が多かった。アベノミクスが始まって以来、安倍政権は官僚の人事権を把握して、政権に忖度(そんたく)する人間をどんどん出世させた。

政権に都合の悪いことは圧力をかけて忖度させる手法を堂々と取ってきた。例えば、昨年1年間だけを見ても次のようなデータの不正や偽装が横行した。

・2月……厚生労働省の裁量労働制をめぐるデータに多数の不備が発覚
・3月……財務省が森友学園への国有地売却に関する決裁文書の書き換えが発覚
・4月……防衛省が存在しないはずの陸上自衛隊のイラク派遣の日報を公表
・8月……地方自治体などに続いて中央官庁で障害者雇用の水増しが発覚
・11月……法務省で失踪した外国人技能実習生の調査データに誤りが発覚

まさに、省庁を超えて安倍政権への忖度のオンパレードだ。毎月勤労統計の不正調査発覚も、2018年6月の現金給与総額が前年同月比3.3%増といきなり急騰したのがきっかけだった。実感もないのに21年5カ月ぶりの高い伸びとなり、統計を見直すきっかけになってしまったわけだ。

まさに発展途上国や旧共産圏の不正な統計発表とほとんど変わらない状況が、日本でも繰り返されてきたわけだ。安倍首相は、賃金伸び率の数値だけを示して成果だ、と強調したことはないと弁明。「統計を下方修正しても景気が拡大している」と、根拠のない答弁を繰り返している。

そして、今回の統計不正で際立ったのが、厚労省の事態の収拾に誰でもわかるようなあきれた手法を行ったことだ。たった6日間の調査で全調査を終了させ統計不正を認めて幕引きを図ろうとしたわけだ 。

公務員の給与は民間より246万円高!

不正調査の原因として忘れてならないことには、統計職員数の異常な少なさもある。総務省の資料によると、日本の統計職員の数はカナダの10分の1、フランスの6分の1と言われる。民間企業への負担を増やすことで政府職員の数を減らし続けてきた、日本政府の統計に対する考え方が垣間見える。

実際のところ、厚生労働省本省の統計職員数は2006年の331人から2016年には237人に減少し、省庁全体でも5581人から1886人へと、この10年で3695人も減少している(総務省「府省等別統計職員(本章職員)数の推移」)。統計職員に限らず、日本政府は末端の職員の数を大きく減らしてきた。

統計は、行政サービスの一環であり年金や医療サービスと同じだ。目に見えない部分をカットし続けているところに日本政府の問題点がある。

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