「高円寺」で再開発がなかなか進まない背景 カルチャーの街はどのようにして生まれたか
実際、2013年には早稲田通りを挟んで北側の中野区大和町内で道路拡幅事業が都市計画決定され、現在工事が始まっている。そのため高円寺に関わる人の間で不安が増大し、デモや計画に反対するイベントが行われた。
高円寺は防災面から見ると弱い所がある。2018年3月に東京都が公表した「地震に関する地域危険度測定調査(第8回)」を見ると、「補助227号線」の建設計画がある高円寺北3丁目が都内の総合危険度ランキング64位にランクインしており、杉並区内ではワースト2位だ(調査は東京都内5177町丁目が対象)。特に火災危険度が高い。
再開発を望む声もある
また、「補助227号線」の計画エリアである「高円寺純情商店街」や「庚申(こうしん)通り」はチェーン店化や店主の高齢化が進んだ店舗が多く、古着屋や音楽関係の店をはじめとした個性の強い店は多くない。そのため道路建設を行い、防災機能や街の道路ネットワークを拡充し、街のリニューアルを進めようという考え方があることも理解できる。実際に地域内には再開発による街の現代化を望む声もある。
ただ、2017年4月に杉並区から発表された2025年度までの道路整備の方針「すぎなみの道づくり」ではこの「補助227号線」は2025年度までの着工は目指さず、住民の間で雰囲気醸成が行われてから計画・建設するとしている。
かつてフォーク・ロック文化や古着屋集積など「若者の街」であった高円寺。しかし、今は周辺の街との差異はかなり減ってきた。地域に住む20代も今や15%ほどであり、区内平均よりは多いものの、突出しているわけではない。
今や高円寺は「そこに暮らし、そこで生業を作る」場所から「わざわざ行く」場所へと変わった。周辺には中野駅周辺のように再開発や区画整理により開放的な雰囲気がある一方で、独特の雰囲気の店が並ぶ街の人気が上昇している。こうした周辺環境も見ると、高円寺の街の存在感を保っていくのは並大抵のことではない。
もし高円寺がこれまでどおり、「若者の街」として看板を保っていくのであれば、今まで持っていたアドバンテージやコンテンツを生かし、地域に住む若者を増やすこと、若者が店を出しやすい環境を整えていくことが必要だろう。
高円寺が今後も存在感を保てるか、そして新しい若者文化の街としてどんな進化を遂げるか。駅周辺エリアで街の雰囲気づくりや方向性づくりをしっかり行っていくことが必要だろう。高円寺はどう変わっていくのだろうか。
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