服を買わずに「借りる人」が急増している事情 月額定額制「エアクロ」「メチャカリ」って何?

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メチャカリの顧客層はエアクロよりもやや低く、20~30代が中心。月会費は借り放題で5800円だ。ストライプ傘下のブランドを中心に約50ブランド、約3万点の商品の中から、利用者が好みの服を選んで1度に3点まで借りられる。エアクロとの最大の違いは「すべて新品」という点だ。

SPAだからできるビジネスモデル

メチャカリは、レンタルから返却された商品をすぐに中古で再販することで利益を確保している。自社直営の古着専門サイトでの販売が大半を占め、ほかにZOZOTOWNの古着サイトで販売することもある。商品の多くはトレンド鮮度が高く、数回しか着用されていないため、通常の古着と比べて高値で売れる。レンタルから返却された商品のうち実に95%を中古で消化できる。

メチャカリのサイトではさまざまなシーンに対応できる商品をそろえている(写真:メチャカリのHPから引用)

大まかな計算では商品の定価に対して、レンタルで2割強、中古販売で5割弱、合計で7割を回収する。値引き販売の多いアパレル業界では、「定価の7割を回収できれば合格点」と言われる。ストライプの石川社長は「僕たちは定価の3分の1の原価で商品を作るので、人材コストを差し引いて利益に残るのは1~2割。SPA(製造小売業)だからこそ実現できるビジネスモデル」と強調する。

「所有」から「利用」へと流れる消費の変化に加え、最近は旅行などの「コト消費」が盛り上がりを見せ、人々がファッションに掛ける時間は相対的に減った。店頭を訪れる客の減少にアパレル企業が四苦八苦する傍ら、エアクロやメチャカリはファッションに関心があるものの「トレンドの早さについていけない」「服を選んで買う時間がない」と悩む消費者の潜在需要を掘り起こした。

一般的な認知度はまだ低く、短期間で退会する利用者も少なくない。とはいえ、長い不況が続くアパレル業界で、消費者へ新しいサービスのあり方を示したことは事実。「効率的にファッションを楽しむ」というサービスは、どこまで浸透していくか。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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