平成最後、首相の施政方針演説を読み解く 毎月勤労統計の責任には触れず、守りを優先

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通常国会が28日に召集された。予算案の年度内成立を含めて、安倍政権は乗り切ることができるか(写真:Motoo Naka/アフロ)

通常国会が召集された28日、安倍晋三首相は衆参両院本会議でそれぞれ施政方針演説を行った。首相にとっては8度目で、平成最後という節目の演説となった。

ただ、要所で「平成のその先の時代」を連発する一方、自民党総裁3選による新たな任期の最初の政治的関門となる「亥年選挙」にはまったく触れなかった。

実現が遠のいたとされる憲法改正については、演説の最後に短く触れただけ。政権を揺さぶる毎月勤労統計の不正調査について、真相解明への具体的道筋や責任問題には言及せず、内政外交の政策運営についても総じて「守り優先」(公明幹部)の姿勢が目立った。

「演説キーワード」を連発

演説の冒頭、首相は「平成最後の施政方針演説を申し述べます」と前置きし、議場を見渡しながら「本年4月30日、天皇陛下が御退位され、皇太子殿下が翌5月1日に御即位されます。国民こぞって寿(ことほ)ぐことができるよう、万全の準備を進めてまいります」と、歴史的な皇室行事に万全を期す考えを表明した。

続けて「内平らかに外成る、地平らかに天成る」(『史記』など)と、31年で幕を閉じる元号・平成の由来に触れ、東日本大震災など相次いだ大災害で被災者に寄り添い続けた両陛下への敬意と感謝を述べたうえで、「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらわれにける」と明治天皇の御歌を引き、「平成の、その先の時代に向かって、日本の明日を、皆さん、共に、切り拓いていこう」と声を張り上げた。

この明治天皇の御歌は「大和魂」を詠み込んだものとされるだけに、議場の自民党席からは「(保守派の)首相らしい」との声が上がる一方、野党席には反発交じりのざわめきが広がった。これに続いた「平成のその先の時代に……」のフレーズは、このあと「人生百年時代」の項をはじめ6回も使われる「演説のキーワード」(政府筋)となった。

首相は昨年の自民党総裁選などからこの言葉を常用しており、残された首相(総裁)としての任期を全うする自信と決意を強調したと受け止められている。

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