【産業天気図・百貨店】高額品が売れない! 08年度は減額修正の嵐で天気は「雨」へ、業界再々編も加速へ
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 |
百貨店業界は2008年度後半、09年度前半とも「雨」となりそうだ。前回の予報はいずれも「曇り」だったが、業界をとりまく環境は急速に悪化しつつある。
全国百貨店の既存店売上高は11月で8カ月連続の前年比マイナスが確実。すでに07年秋ごろから主力商品である婦人衣料を中心に減速感が出ていたが、世界的な金融危機が進行する中で、秋以降消費者の購買意欲は急速に冷え込んでいる。特に宝飾品やラグジュアリーブランドなど、百貨店が得意としている高額品の落ち込みは鮮明。今期は大手を中心に軒並み通期予想を減額修正したが、一段悪化の可能性もある。しかも、残業代やボーナス減少など、企業業績悪化が給与生活者の所得に反映されるのはむしろ09年度。身の丈消費志向の高まりで、来期も百貨店の業績は厳しそうだ。
07年9月に大丸と松坂屋の統合で誕生したJ.フロントリテイリング<3086>は08年第2四半期で松坂屋が大幅営業増益となるなど、大丸主導での改革が一定の成果を見せている。だが、ここへきて松坂屋の11月の基幹の名古屋店の売り上げが前年比18.9%減と大幅マイナスに。個人消費の低迷に加え、トヨタグループなどの法人需要が大きく落ちこんでおり打撃を受けている。
今年4月に誕生した三越伊勢丹ホールディングス<3099>も08年第2四半期の発表と同時に通期営業利益予想を340億円から250億円へ減額修正。当初は統合によるスケールメリットも期待されたが、三越の鹿児島店や池袋店などの閉鎖を発表、地方店舗の別会社化を発表するなど、直近では業績悪化に対応したリストラに迫られている。
高島屋<8233>も通期営業利益400億円から340億円に減額修正。厚い固定客層を持つ強みはあるものの、この水準で踏ん張れるかどうかは微妙だ。
しかも、ミレニアムリテイリングも入れた4大グループの中で、唯一孤高を保っていた高島屋が10月にエイチ・ツー・オー リテイリングとの資本業務提携を発表、ここへ来て業界を取り巻く環境は風雲急を告げている。縮小する市場の中で生き残りを賭け、百貨店は将来2大グループに集約されると読む向きも多い。消費低迷が業界再々編を加速させそうだ。
(福井 純)
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