ZOZO前澤、ホリエモンも落ちた「宇宙」の魔力 35兆円市場に経営者たちが吸い寄せられる
民間の宇宙ビジネスは、この10年で一気に開花した。2005年には約17兆円にすぎなかった世界の宇宙事業関連市場は今や35兆円超。10年間で市場はほぼ倍に膨らんだことになる。この成長スピードは今後、加速度的に増していくと考えられる。デジタル化やAIなどの進歩が宇宙ビジネスの成長を促し、宇宙ビジネスの拡大がICT(情報通信)技術やさらなるAIの進歩を促す好循環に入っているからだ。
拡大する市場を狙い、ITや電気自動車など、関連ベンチャー起業家も続々と参入している。
2000年にはアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が「宇宙に100万人の経済圏ができる」との想定の下、大型ロケットの開発を行うブルーオリジンを設立。アマゾンから年間約1000億円の投資を行うと発表した。アマゾンに限らず、GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)にマイクロソフトを加えた、ITビッグ5が宇宙ビジネスに熱い視線を注ぐ。
2002年にはマスク氏が宇宙ベンチャーのスペースXを立ち上げている。現在まで、すでに50回以上ロケットを打ち上げており、今ではアメリカ航空宇宙局(NASA)に代わって、国際宇宙ステーション(ISS)への補給便サービスも引き受けているほどだ。
日本でもJAXA以外に宇宙ベンチャーが参戦
そのIT企業以上に宇宙ビジネスに興味津々なのがベンチャーキャピタルである。宇宙はいまや、期待値の高い優良投資先となっている。
「ペイパル・マフィア」との異名も持つ投資家のピーター・ティール氏をはじめ、スカイプやテスラへの投資家として世界的に有名なドレイパー・フィッシャー・ジャーベットソン氏、ビル・ゲイツ氏に孫正義氏と、名だたる投資家が宇宙ビジネスに巨額な資金を投じている。
一方、日本では開発から運用までを担うJAXAの存在感が圧倒的だが、2008年に制定された宇宙基本法の制定を契機に、国内でも宇宙ベンチャーが生まれてきている。
2017年12月には、小惑星探査機「はやぶさ」の開発者や三菱重工業のトップエンジニアが中心となり、SPACE WALKERを設立。2027年に日本初の有人宇宙旅行を目指す。
堀江貴文氏が出資するインターステラテクノロジズ(IST)は、超小型ロケットの開発に特化している。2018年7月、クラウドファンディングで資金を集めて打ち上げた小型ロケット「MOMO」が落下炎上するなど、前途多難な面も多い。が、高性能を求めず、世界最低性能の使い捨てロケットを開発することで、低価格化を実現しようとしている。
人工的に流れ星を発生させる事業に取り組んでいるのがエールだ。イプシロン4号機にも搭載された「ALE-1」は、高度400kmから流れ星の元となる金属球を放出、人工的に流れ星を作り出す。人工流れ星は夜空を彩る演出に使われるだけではなく、その動きを観測することで高層大気の波動などを解明。航空機の効率的な運航に役立てることもできるという。
現時点で2019年度以降、革新的衛星技術実証機は4号機までの打ち上げが決まっている。民間による宇宙実験の機会が広まることで、宇宙ビジネスはさらに拡大することが期待されているのだ。
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