SNS浸透と「高級料理店」に必要な格式の狭間 これからはサービスで顧客をつかむ時代だ

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ところがサービスの立場からすると、「こんな格好で来られても困るな」という人も増えている。しっかりドレスアップしている人から、クレームをつけられることもある。たまにそういう人がやってくるのではなく、頻繁にやってくるので、席の配置に頭を悩ませます。

かつて多くのグランメゾンでは、「ダイニングではジャケット着用」がルールでした。ところが今ではこのドレスコードも有名無実化しているのではないでしょうか。

実際「ジョエル・ロブション」では、ロブション氏自身がドレスコードにそれほどこだわらない人でしたので、ジャケットを着ていなくても襟付きのシャツならば可としています。そうしないと「あそこは堅苦しくて」という風評がたってしまい、お客様が減ってしまいます。

SNSでそういうことが書かれると、とたんに客足が鈍る時代になりましたから、店側も苦慮しているのです。 対応策としては、やはり店側からお客様に対して時間をかけて「ご理解いただく」こと以外ないでしょう。

上から目線にならないように気をつけながら、星付きレストランの雰囲気と威厳を店側から醸しだして、「あそこに食事に行くなら、これくらいの格好をした方が自分も楽しい」という境地にまで持っていく。店とサービスマンもきちっとした身なりでお客様を迎えることで、格式を保つ。そういう対応が求められる時代になりました。

口コミサイトに振り回されるな

日本のレストラン情報では「食べログ」が圧倒的なシェアを誇っています。店やサービスマン側も、「食べログ」の情報は無視できません。そこに悪口を書かれたら最悪の結果になりますから、日々チェックし、店側が改めるべきところは改めています。 たしかに、「食べログ」をはじめとするサイトは、高級レストランに入りやすくしたという意味では食文化に大きな貢献をしています。料理内容や価格が明確になったこと、客同士の評判が読めることで、安心して店に入れるようになりました。

けれど大きな弊害もあります。それは、初めてのお店に「どんな料理が食べられるか」とワクワクしながら向かう楽しみがなくなってしまったことです。「初訪問」が、他人の評価した情報通りの味を「確認」するだけの行為になってしまっている。自分自身で失敗をしながらも好みの味を探し出す醍醐味がなくなって、ただ他人の評価の高い店や評判の良い店を巡るだけになっているのです。

これでは本当のグルメは育ちません。

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