SNS浸透と「高級料理店」に必要な格式の狭間 これからはサービスで顧客をつかむ時代だ
私自身、食べ歩きをする時は、他人の評価に左右されないように心がけています。まずは自分の直感を信じて店を選ぶ。もちろん店の門構えや価格帯、料理の写真などはチェックしますが、最終的には自分の味覚で料理を判断し、自分の感覚でサービスを吟味してその店を評価する。
期待値を上回っていたら何度も訪れることになりますし、期待値よりも低かったら(知り合いがいた場合には)食事のあとでスタッフに感想を二言三言伝え、さりげなく「ここが物足りなかった」とサゼッション(提言)します。 そういう作業を繰り返すことで、店も成長するし自分も鍛えられる。ただお腹を満たすだけでなく、微力ながら今日の食文化を高めていきたい。そう考えています。
最新のミーティング方法で「シェア」する
独立前の自分自身の反省点としては、スタッフで行うミーティングの甘さがあげられます。視覚情報をはじめとしてあらゆる情報が瞬時にネットにアップされる時代を意識して、もっと緻密に、マネジメント側からスタッフに対して伝えるべきは伝え、話し合う必要があったと思います。大きな店ではスタッフの人数も多いので、なかなか全員で集まれなかったのもよくありませんでした。
現在、メートル・ドテルをしているレストランでは、毎日のようにサービススタッフと料理スタッフを集めてミーティングをするようにしています。 なぜミーティングが必要なのか。 理由はいろいろありますが、大きな要因としては、SNS時代になりお客様の視線が厳しくなったこと。店の評判がネットであからさまになり、経営にも直結するようになったことです。
だからスタッフは常にミーティングで、店の進むべき方向性、課題、問題点などをシェアしながら統一感を持って仕事に当たることが不可欠になりました。スタッフ全員のチームとしての統一感が、店のブランドに繋がるのです。 しかもそのミーティングは、あくまでも「お客様主体」であることが前提です。
かつてレストランで行われていたミーティングは、スタッフ主体の過去の事例を報告し合うものでした。ロブションでは、サービススタッフが約20名いたので、LINEのグループをつくり、休んでいる人にも報告内容を共有していました。これは情報をシェアするには有効な手段です。