SNS浸透と「高級料理店」に必要な格式の狭間 これからはサービスで顧客をつかむ時代だ
それ以前には「引き継ぎノート」というものがありました。前日の担当スタッフが、お客様の反応や店内の出来事、システムの変化などを記録していく。次の担当はそれを見てから仕事にとりかかるわけですが、この方式だと適当に読み流している人、ノートを見ない人も出てきてしまいます。情報共有が徹底できていなかったのです。
ところがLINEだと「既読」がしっかりと表示されますから、伝達事項を忘れた人や守らなかった人は「LINEで伝えたのに」と責任の所在が明らかになります。最低限の情報伝達はこれで済ませられるのです。 その上でスタッフ全員が集まった時には、「お客様のためのミーティング」を行います。
内容は、お客様情報のシェア。これまでは「このテーブルのお客様は今日が誕生日」「このテーブルのお客様は××アレルギー」といった情報をシェアしていましたが、最近では一人一人のお客様にカードをつけて「このテーブルの方は前回×月×日に来店されました。その際、奥様はワインを飲まずに、ご主人だけがワインをペアリング(1皿に1種類ずつ、ワインのプレゼンテーションをするサービス)で飲まれました。今回は3名でのご来店なので接待だと思われます」というように、予約の電話をとった人間が報告します。
さらに前回サービスを担当した人間が、「こういう感じの人だったので、サービスではここに気をつけて」とアドバイスもします。
顧客満足に繋がる情報をシェアする
外国人のお客様だったら「中国からのお客様でコンラッドに宿泊されています。ハネムーンでのご旅行です」と報告する。するとメートル・ドテルが「ハネムーンだったらデザートの時にお祝いのケーキを贈ろう」と提案して「パティシエに伝えて」と伝令を走らせる。 このようにして、顧客満足に繋がる情報をシェアするのが、最新のミーティングのあり方です。
このミーティングを定期的に開くためには、掃除はルンバを使って夜のうちに済ませておくとか、ネットを活用して連絡ミーティングはLINEで済ませるとか、他の業務を合理化して時間をつくることがポイントです。
レストランは本来、お客様の満足のためにあるのですから、その目的に向かって真っ直ぐに時間を使う。 それがダイレクトにサービスの価値に繋がってくる時代です。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら