人口減少で日本企業に「大合併」時代が訪れる 2060年までに、日本から「200万社」が消える

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実は、企業の規模と生産性との間には相関係数0.93という、驚異的に強い関係があるのです。経済学を学んだ人にとっては、「規模の経済」という言葉が存在する通り、当たり前と言えば当たり前の話です。

20人未満の企業で働く労働人口の割合を見ると、スペインとイタリアは非常に高いのが分かります。たびたび財政危機に陥るギリシャも同様です。

日本も世界標準に比べて非常に高く、約20%です。日本がスペインとイタリアと比べて潜在能力が高いのにもかかわらず、実績につなげられない原因が、実はここにあったのです。

「零細企業で働く労働者の割合」が重要な指標

日本、そして同じように生産性の低いスペイン、イタリアは、極めて小さい企業で働く人の割合が多いという共通の特徴があります。一方、高い生産性を誇るアメリカではその割合はわずか11%です。

そして、アメリカの数字を追っていくと、大企業で働く労働者の比率が世界一高い国だからこそ、大手先進国の中で生産性が極めて高いということがわかります。アメリカの活力の秘訣はベンチャー企業などが多く立ち上がることだと主張する日本の学者は多いですが、それは違います。アメリカの場合、ベンチャー企業の数ではなく、ベンチャー企業がすぐに大企業に育っていくことが経済の活力の源なのです。

要するに、小規模な企業で働く人の割合が多ければ多いほど、生産性が低くなるという関連性が導き出されるのです。実はここに極めて大事なポイントがあります。

ニュージーランドは、生産性向上を徹底的に追求しているデンマークの経済政策をベースにして生産性向上政策を実行してきました。しかし、デンマークはその成果が世界的に注目されているのに、ニュージーランドの生産性は思うように上がっていません。その原因を探っていくと、零細企業で働く労働者の比率によって説明がつくことがわかりました。ニュージーランドは20人未満の企業で働く労働者の割合が高い一方、デンマークは世界的に見てかなり低いのです。

ちなみに、この数字で重要なのは、全企業のうち、中小企業比率が高いか低いかということではありません。重要なのは、どの規模の企業に労働人口が集中しているかです。

極めて小さい企業で働いている人が多すぎるのが、日本経済の成長を阻害している最大の壁なのです。日本の生産性が潜在能力に比べて低い原因はここにあります。

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