日本語ができない外国人は「自己責任論」の嘘 馳浩議員が語る「日本語教育」の重要性
田中:たとえば法律がないまま進んだとしたら、どんな問題が想定されますか?
馳:法律によって基本計画があって数値目標があって初めて、予算がつきます。最初はモデル事業だったりしますけども、それでもモデル事業でも、とっかかりができればそこから横展開していくことができますよね。
税金を使って日本語教育を推進する、基盤整備をする、(日本語教育)人材を養成し、評価をして、試験を作って、教師として配置していく。国でやっていくということですから、日本語教育、日本語教師を志す人も、安心して働いていくことができる。
「日本語教師は食べられない」実態を知ってほしい
でも、ちょっといやらしい意味で言えば、日本語教師のお給料って平均していくらよ。国会議員だからはっきり言うけど、現場で頑張っていてもよくて年収250万円前後ですよ。大学の先生ならば、1000万円超えるでしょう。その水準、日本語教師の中で何千人、何万人に1人なのか、と。だからほとんど日本語教師を頑張っている人って女性じゃないですか。それは職業として確立してないからじゃないのか、と。そこも踏まえてですね、職業として確立させて、社会的に評価を受ける仕事ということ、そういう制度や評価がしっかりしていかないと。
田中:日本語教師の方々は食べられないという現状、ありますね。 食べられないから若手が参入せず、日本語教育人材の高齢化も課題になっています。
馳:以前、私の母校の専修大学・日本語学科で講演をして、学生は200人ぐらいいましたけど、日本語教師になりたい人って聞いたら、5、6人しかいなかったですよ。
神吉:うちも1学年に80人いまして、やっぱり2、3人ですね。
馳:要はそういうことですよ。今でも日本語教師として専任でやっている人は半数にも満たないと思いますよ。やっていけないから。ボランティアが多かったり、夫が働いているので、非常勤でもなんとかやっていける、あるいはコマ数で稼いでいます、という、そういう実態なんだということを多くの国民にもわかってもらいたいと思います。
オンライン署名キャンペーンへ、ぜひご賛同をお願いします
外国人や海外にルーツを持つ子どもに対する日本語教育が大切だということは、きっと、多くの人が納得する点だと思います。外国人が増加するなかで日本語教育機会の必要性も高まっています。しかし、低賃金で不安定雇用の日本語教師になりたがる若者は少なく、地域で日本語教育機会を作ろうとしても、教えられる先生がいないという事態も生じかねません。
私が代表を務めるスクールには、毎年多くの海外ルーツの子ども・若者が専門家による日本語教育機会を求めて各地から通ってきます。中には、他県から電車を乗り継いで片道2時間以上をかけて足を運ぶ子どももいます。それだけ、日本語を学べる場は少なく、足りていないのです。
そしてこうした子ども達や保護者の9割以上は、これから先、日本以外の国で暮らすつもりがないと答えています。つまり彼らは、日本国内で教育を受け、自立し、働いて新たな家庭を築いていく、日本社会の子どもであり、私たちの未来を託す存在です。
馳議員が「一丁目一番地」と呼んだ日本語教育の推進は、まさに日本社会の未来に向けての第一歩に他なりません。一時的に日本国内で働く「労働者」だけでなく、「生活者」として生涯にわたって日本で生きていく人々と共に、私たち自身も安心して暮らしていける社会にするためにも、この法案の成立が不可欠です。
今、この法案の早期成立を後押しするために、インタビューに同席した神吉准教授らが中心となり、オンラインで署名キャンペーンを展開しています。1月末までに集められた署名は、日本語教育推進議員連盟の役員会に提出される予定ですが、まだまだ多くの賛同者を必要としています! ぜひみなさんのご協力をお願いいたします。
寄稿:田中宝紀さん(YSCグローバル・スクール責任者/GARDENジャーナリスト)
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