"ポスト宮内"が鮮明化、社長が共同CEOに

オリックスの役員人事に込められた意味

今回の人事で共同CEOという日本の大企業では珍しいポジションを井上氏に任せることで、宮内氏もいよいよオリックスのポスト宮内体制に向けて舵を切る意思を固めた、ということだろう。

井上氏の役割について、「グループCEOを補佐するとともに、CEOの観点から経営に携わる」というオリックスの説明にもあるように、宮内氏の下で助走期間を設けたうえで、CEOに独り立ちする準備に入ったといえる。 

国際派のタフネゴシエーター 

香港、ギリシャなど海外事業で経験を積んだ

1975年に入社した井上氏は、意中の部署ではなかった国際部門に配属されて以来、大半を海外事業に携わってきたバリバリの国際派だ。20代、30代は香港、ギリシアでの船舶、米国での航空機など不況下で債権回収に奔走した。

その後、投資銀行業務に携わり、1990年代末のアジア危機を受けて破綻した韓国の大手生保のM&Aをまとめ上げ、最終的なエグジットで大きな売却益を稼ぎ出し、一躍頭角を現した。タフネゴシエーター、実務派の叩きあげ、というのが社内外の井上評だ。


 今年、2400億円規模を投じた欧州資産運用大手のロベコ社買収以来、オリックスは電力、保険、金融と多様な分野、アジア、中東、欧州と世界をまたぐグローバル投資を活発化。世界の金融メジャーと張り合うための成長源として、海外事業に照準を合わせている。時代の流れやオリックスの現成長戦略と、井上氏の経歴、強みが合致していることも、井上氏には追い風になっている。

 国際派の実務プレイヤーとしては超一級でも、宮内氏の後を継ぐCEOとなるには、経営戦略を組み立てる別の視点、能力が求められる。リーマンショック後も事業環境の変化はめまぐるしい。まして、国際的なM&Aなどの巧拙が成長を左右することを考えれば、宮内氏に劣らぬ経営センス、判断力も必要だろう。今後、井上氏のCEOとしての腕前が、よりいっそう試されることは間違いない。

撮影:今井康一

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