創業社長が更迭。思惑外れたジャフコ 社長更迭を機に、出資先企業の経営不振が深刻化

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本誌7月27日号で詳報した大手ベンチャーキャピタル・ジャフコによる出資先企業の創業社長追放劇が、終わりの見えない紛争に発展している。

ジャフコと中堅保険代理店F.L.P.(以下、FLP)の松谷昭男取締役(肩書は当時、現在は社長)は、「業績不振」を理由に、同社創業者の小林尚哉社長(当時)を追放することで極秘裏に共闘。ジャフコの山田裕司専務らが急きょ来社し、「株主提案書兼株主総会招集通知書」を小林氏に突き付けるや否や、その直後に開催された定例の取締役会で松谷氏が社長解任の動議を提出した。両者の連携プレーによって、小林氏は手塩にかけて育て上げた保険代理店の社長の座をわずか2時間で追われてしまう。今年5月2日のことだ。

さらに、「水に落ちた犬は打て」といわんばかりに、松谷氏は小林氏の生命保険募集人資格を抹消。小林氏がFLP創業前のソニー生命保険在籍中に取り交わした保険契約約3000件の移転手続きも拒否した。一方で、社長解任後も銀行借り入れへの連帯保証は解除されないままだ。

ところが、ジャフコと松谷氏による兵糧攻めは裏目に出た。自らが受けた仕打ちに納得のいかない小林氏が徹底抗戦を決意。9月24日付でジャフコを相手取り、東京地方裁判所に損害賠償訴訟を提起したからだ。

出資先との友好関係を基本とするベンチャーキャピタルが株主としての権利を行使して経営者に突如、クビを宣告。10年の歳月をかけて、20店の来店型保険ショップを展開する有力代理店を作り上げた創業者を問答無用で追い出したこと自体、「前代未聞」(大手ベンチャーキャピタル幹部)だ。

訴状によると、小林氏はジャフコによる一連の動きを「不法行為」と主張。2億円近くに上る損害賠償を求める法廷闘争を開始した。

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