「薬」の奥深さを一体どれだけ知っていますか この蘊蓄100章は思わず人に言いたくなる

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「くすり」という言葉の語源をご存じですか?(写真:Table-K /PIXTA)
モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。ちょいと一杯に役立つアレコレソレ。「蘊蓄の箪笥」をお届けしよう。
蘊蓄の箪笥とはひとつのモノとコトのストーリーを100個の引き出しに斬った知識の宝庫。モノ・マガジンで長年続く人気連載だ。今回のテーマは「薬」。あっという間に身に付く、これぞ究極の知的な暇つぶし。引き出しを覗いたキミはすっかり教養人だ。
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01. 「薬」とは、一般に病気やケガの治療、診断、予防に用いられる薬剤のこと

02. 日本の薬機法(旧・薬事法)では医薬品として定義され、厚生労働省によって取り扱いが規制されている

病気は精霊や悪魔の仕業としておそれられていた

03. 太古、病気は〈精霊や悪魔の仕業〉としておそれられ、人々はその恐怖から逃れるために祈りを捧げた

04. 世界に古くから伝わる神事や習俗には病魔を追い払うための儀式が多いが、それは人々の恐怖の証でもある

05. その後、生活的経験を積み重ねるなかで植物を中心に、動物、鉱物などを薬として用いるようになっていく

06. 薬に関する最古の記述は、紀元前5000年頃にメソポタミアの粘土板に刻まれたものである

07. この粘土板はシュメール人が残したものとされ、すでに多くの植物が薬用として記されている

08. これらの知識をもとに、エジプトでは紀元前1550年頃に医学全書『エジプト・パピルス』がまとめられた

09. 1世紀頃、薬物に関して系統的かつ科学的に記された世界初の薬学誌『マテリア・メディカ』が誕生する

10. 著者のペダニウス・ディオスコリデスは古代ギリシャの薬理学者でローマ皇帝ネロの侍医でもあった人物

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11. 彼は軍隊と共にギリシャ、ローマ各地を転戦する間、自ら採集した薬草やその用法の知識を蓄えたとされる

12. 薬学の知識は古代ギリシャからローマ、アラビアへと伝播し、8世紀以降はアラビア医学が隆盛となる

13. 一方、東洋では約5000年前の中国の古代三皇の一人「神農(しんのう)」が薬の専門家として伝えられている

14. 神農とは人身牛首の炎帝のことで農耕をもたらしたことでも知られ、中国文化の源ともいわれる伝説の天子

15. 後漢から三国時代には、その名を冠した現存する最古の中国薬物書『神農本草経』が編纂されている

16. 『神農本草経』の撰者は不詳だが365種の薬物(生薬)を〈上品・中品・下品〉の三つに分けて解説している

17. 「上品」は〈無毒〉な強壮保健剤が中心で、不老延年を望む人々が飲むべき120種が紹介されている

18. 「中品」は病気の予防や強壮に効果が認められるが、無毒なものと有毒なものがあり、こちらも120種を掲載

19. 「下品」は病気を治す効果が認められるが、毒があるため長期服用には適さない125種が取り上げられている

20. これら365種のなかには現在も漢方処方の重要生薬となっているものもあり、薬物知識の先進性が伺える

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