「天皇」の呼び名は日本人の気概を表している

1400年にわたる歴史の大本にあるもの

このように、領土拡張を続けていた日本は中国に対し、へり下る必要はなく、朝鮮半島をはじめとする東アジア諸地域に対し、日本の優位性を示すためにも、日本の君主は中国への臣従を意味する「王」の称号を捨て、自ら「天皇」を名乗ったのです。中国皇帝も日本の国力を考えれば、日本の意向を無視できないはずだと、聖徳太子をはじめとする日本の首脳部は見抜いていました。

当時の日本が国際情勢を見据えた戦略の中で、「天皇」の称号を打ち出したことは時宜に応じたものであり、優れた大局観であったと言えます。今日まで続く「天皇」の称号には、古代日本人のあふれる気概が息づいています。

7世紀後半の第40代天武天皇の時代には、「天皇」の称号が一般的に使われようになり、孫の文武天皇の時代の702年に公布された大宝律令で、「天皇」の称号の使用が法的に定められます。

「スメラミコト」に匹敵する漢語表現

では、「天皇」という言葉そのものはどのようなことに由来するのでしょうか。中国の神話では、「天皇(てんこう)」・「地皇(ちこう)」・「人皇(じんこう)」の3人の伝説の皇が世界を創造したとされます。その中でも「天皇(てんこう)」は最高神です。道教でも、「天皇(てんこう)」が崇められています。

先述のとおり、日本には「オオキミ(大王)」という俗権的称号のほかに、「スメラミコト」という聖権的称号がありました。最高祭司としての「スメラミコト」に匹敵する漢語表現(つまり当時の国際言語)を探し求め、宗教的かつ神話的な意味を持つ「天皇」がふさわしいと選定され、この称号によって、「オオキミ」が天の神の子孫であることを知らしめようとしたと考えられます。

そして、同時に、その子孫の血統を守ることも強く意識されて、天皇の地位は天皇家の家系にのみ、独占的に世襲されることの正統性も導き出しました。

「天皇」は中国皇帝に唯一、対抗できる称号だったわけですが、では「皇帝」の称号のほうは、どのような由来を持っているのでしょうか。秦王の政は紀元前221年、中国を初めて統一し、始皇帝を名乗ります。この時、「皇帝」の称号が誕生しました。

前述の世界創造神の三皇に加え、その世界を受け継いだ帝王である伝説の五帝がいます。この五帝の中に夏王朝の尭(ぎょう)・舜(しゅん)などの帝王も含まれます。三皇と五帝を合わせて、「三皇五帝」と言い、秦の始皇帝は、これら「三皇五帝」をすべて統合するという意味で「皇帝」の称号をつくりました。

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