「独占男」との婚約を解消した36歳女性の顛末 「やきもち」という言葉では済まされない

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優子を残し、歩いていってしまう伊藤の後ろ姿がだんだんぼやけていった。

その出来事がきっかけとなり、優子は伊藤との婚約を解消することにした。

「結局婚約指輪は買わないまま別れたのだけれど、夕方、このままではいけないし話し合いたいと思って、彼のマンションに行ったんです。インターホンを押しても出てこない。電気がついていたから、いるのはわかっていました。合鍵を持っていたので、開けて中に入ろうとしたら内側からU字ロックがかかっていた。10センチくらいの隙間から、『いるんでしょ。ちゃんと話をしましょうよ』と言ったのだけれど、無視をされました」

やきもちという軽い言葉では済まされない、この嫉妬心は異常ではないか。彼と結婚したら、大学時代の友達の飲み会にも行けなくなる。伊藤のマンションからの帰り道に、婚約を解消することを決めたという。

両親に一部始終を話した。彼の嫉妬心には同情的だった母親も、今回の出来事については、こう言った。

「これでは先が思いやられるわね。友達とも自由に会えなくなって、結婚したらあなたは籠の鳥になってしまうかもしれない。まだ籍を入れていなかったのが幸いよ。結婚はやめなさい」

翌日、婚約は解消する旨をメールで送った。父や母にもその報告をしたことも書いた。

すると、即レスで、猛省した言葉がつづられたメールが送られてきた。

「ごめんなさい。自分が軽率な言動をしてしまいました。もう一度話し合いたいです。僕は、結婚するなら優子しかいないし、これからずっと大切にしていきます。誓います」

大爆発を起こした後には猛省し、優しい言葉を連発してくる。怒ったときとは別人になるので、“本当は優しい人なのだ”と許し寄り添い直してきたが、これは今後も繰り返される。優子は、そう思った。

映画やドラマの「胸キュンセリフ」は危ない

「絶対に誰にも渡さないよ」

「お前は俺のものだからな」

「すっと俺だけ見てろよ」

恋愛映画やドラマで、イケメン俳優が言うセリフに胸をときめかせている女性も多いだろう。しかし、これらの言葉の裏側に隠れているのは、強い独占欲だ。

独占欲や嫉妬心は、時に恋愛の甘い媚薬になり、2人の関係を盛り上げることになる。しかし、独占欲や嫉妬心が強い人は、得てして自分に自信がないのだ。彼女がほかに目移りをして自分が捨てられてしまうのではないかという不安をつねに抱いている。さらに、パートナーへの依存心も強い。

結婚は、個々が自立し、お互いを信頼し合い、仕事や交友関係も認め合えないと成り立たないものだ。

すぐに怒り出す人、独占欲の強い人との結婚は、はたして幸せになれるのか。そうしたパートナーと付き合っている人は、もう一度考えたほうがよいのではないか――。

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラ

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