「独占男」との婚約を解消した36歳女性の顛末

「やきもち」という言葉では済まされない

結婚相談所では真剣交際に入ると、サイトに載せてある写真が消えてハートマークになる。なので、もうほかの人とのお見合いができない。

「とてもすてきな方だとは思っていたけれど、まだ3回しか会っていなかったし、さすがに時期が早いのではないかと。それで、『そんなに焦らなくても、もう少し付き合ってからでもよいのでは?』と言ったんです。そうしたら、『もしかしてまだ、お見合いする気なの?』と聞かれて」

実はそのとき、前々から決まっていたお見合いが1つ残っていた。お見合いをキャンセルするには、キャンセル料が発生する。伊藤と結婚には前向きでもまだ決断するまでに至っていなかったので、決まっているお見合いはしたいというのが本音だった。

“一途な愛”と“独占欲”の境目

「お見合いがまだ1つ残っているという話をしたら、彼がみるみる怒り出したんです。レストランで食事をしていたのに、『わかった。もう交際終了にしよう。帰ります』といって、1万円札をテーブルの上に置いて、席を立ってしまった」

突然“交際終了”を告げられ1人とり残され、最初は頭が真っ白になり、のちに悲しさがこみ上げてきた。涙がこぼれそうになったので、まだメインディッシュが来ていなかったけれど、それはキャンセルしてもう店を出ようと帰り支度を始めていると、伊藤が戻ってきた。

「ごめん。もう優ちゃんを誰にも渡したくなかったから。短期間のうちにこれほど人を好きになったのは、初めてなんだ」

その言葉を聞いて、涙があふれ出した。悲しみの中に彼の優しい言葉が、すうっと染み込んだ。

「残っている見合いはキャンセルしてほしい。キャンセル料は僕が払うよ。真剣交際にはまだ入らなくてもいいから、僕だけを見ていてくれないかな」

そう言われて、“愛されている”と実感した。そして、残っていたお見合いはキャンセルをした。

優子は、伊藤との付き合いを回顧しながら私に言った。

「とにかく些細なことですぐ怒るんです。でもその後、すごく優しくなる。飴とムチではないですけど、怒られた後の優しさって身に染みるんですよ。ただ、その怒る原因が、私の後ろに見えない男性の影を感じたときなんですね」

伊藤が仕事で北海道に出張したときのことだ。夜、携帯に電話がかかってきた。そのときちょうどテレビのバラエティ番組を見ていた。MCの男性が「誰やねん」と言った言葉に彼が反応した。

「側に誰かいるの?」

「テレビがついているのよ」と説明し、テレビの側にいって、音声を聞かせた。その声の主が有名なお笑いタレントだとわかると安心したようだった。

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