「失敗は自己責任」と断じる人への強い違和感 成功した人だって「たまたま」かもしれない
ではそんな状況下、人生の新たなステージに移行するために、人はどうすればいいのだろうか? この問いに対する結論はないだろうが、ひとつの答えとして、著者は「学ぶ」ことの重要性を強調している。しかも「なにを学ぶのか」ということよりも、「学ぶ姿勢を身につける」ことが必要だというのだ。
そういう意味で、学び続けることは、自己を破壊し、偶有性のなかに積極的に身を投じ続けること。恐ろしいことのようにも思えるが、そこにこそ喜びがあるという。
「自己責任」と対峙するために必要なもの
「自己責任」をコンセプトにしていながら「学び」に帰結することには、違和感を持つ向きもあるかもしれない。それどころか、そもそも本書はわかりやすく「自己責任論」にポイントを絞って書かれたものではない。
もっと広い視野に基づいて「宗教」「英語」「本」「心」などさまざまなテーマについて考え、そこで得た結論を「自己責任」に紐づけているのだ。
だから、自己責任に関連するショッキングなトピックスに期待していたとしたら、多少なりとも肩透かしを食らうかもしれない。かくいう私自身、読み進める過程においてそのようなことを感じもした。
だが、最後の最後で「学び」の重要性を提示されたことで、すべてが丸く収まったような気がしている。極論になってしまうが、過剰な自己責任論を駆逐するためには、大前提として「知性」が不可欠だという考え方もできるはずだからだ。
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