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「失敗は自己責任」と断じる人への強い違和感 成功した人だって「たまたま」かもしれない

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ではそんな状況下、人生の新たなステージに移行するために、人はどうすればいいのだろうか? この問いに対する結論はないだろうが、ひとつの答えとして、著者は「学ぶ」ことの重要性を強調している。しかも「なにを学ぶのか」ということよりも、「学ぶ姿勢を身につける」ことが必要だというのだ。

まず、学ぶためには、対象に出会う必要がある。出会いというのはいわば中動態的なことで、新たなものに主体的に出会うことはできない。出会いは偶発的なものだからだ。しかし出会うためには能動的に自分の世界から一歩外に踏み出してみなければならない。自分の世界から踏み出してみる、予期せぬ対象に出会う、対象に魅せられ、それに没頭し一時的に視野狭窄になる、するとこれまでの自分の世界から引き離されることになる。そこで、あらたなことを学び取り、予期せぬ形で自分自身が変化すると、これまでの自分(や環境とのつながりのいくつか)が破壊される。主体的、選択的に環境とのつながりを切断することはある程度可能だが、その次の段階でどういうつながりが生じることになるかは予測しがたい。(212ページより)

そういう意味で、学び続けることは、自己を破壊し、偶有性のなかに積極的に身を投じ続けること。恐ろしいことのようにも思えるが、そこにこそ喜びがあるという。

「自己責任」と対峙するために必要なもの

「自己責任」をコンセプトにしていながら「学び」に帰結することには、違和感を持つ向きもあるかもしれない。それどころか、そもそも本書はわかりやすく「自己責任論」にポイントを絞って書かれたものではない。

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もっと広い視野に基づいて「宗教」「英語」「本」「心」などさまざまなテーマについて考え、そこで得た結論を「自己責任」に紐づけているのだ。

だから、自己責任に関連するショッキングなトピックスに期待していたとしたら、多少なりとも肩透かしを食らうかもしれない。かくいう私自身、読み進める過程においてそのようなことを感じもした。

だが、最後の最後で「学び」の重要性を提示されたことで、すべてが丸く収まったような気がしている。極論になってしまうが、過剰な自己責任論を駆逐するためには、大前提として「知性」が不可欠だという考え方もできるはずだからだ。

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